ロシアのプーチン大統領は、9日の演説で、「この世にナチスがいなくなるために戦っている」などと述べて、ウクライナ侵攻を継続する意思を示しました。ウクライナを支援するチャリティーコンサートが、広島・三次市で開かれました。現地から三次に避難してきた家族も演奏に耳を傾けました。
チャリティーコンサートを開いたのは、広島市の平石英心さん(14)と、友人の岡野純大(16)さんです。
平石さんの母・エレナさんはウクライナ出身です。平石さんと岡野さんは、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、広島県内各地でチャリティーコンサートを開いてきました。
7日、三次市の会場を訪れたのは、ブワイロさん家族5人です。
一家は先月、三次市に住む親戚のオクサナ・ヤシチェンコさんを頼ってウクライナ東部のドネツク州から避難してきました。
避難の家族を受け入れ オクサナさん
「(きょうは)元気がない。心配で、心配で」
この日、ブワイロさん一家が住んでいたドネツク州のコンスタンチノフカでは、ロシア軍による爆撃があったといいます。
ウクライナから三次市に避難 ディミトルさん(38)
「(三次の)自然を見ると、少し実家を思い出す。さびしい。(ふるさとの)親たちはずっと地下の中。すごく心配。現地のお母さんと全然、連絡が通じなくて…」
実家に残る両親や親戚を思い、「きょうは特別に祈りたい」と話します。
コンサートにはおよそ240人が集まり、ピアノとバイオリンの音色に耳を傾けました。ピアノを演奏する岡野さんは、8曲の演目の中にあえてロシアの作曲家ラフマニノフの曲を選びました。
ピアノ 岡野純大さん(16)
「ラフマニノフという(作曲家の)かなり激しめの曲を選んで、ウクライナの今の人の思いなど、そういうのを表現して…。音楽は国境がなくて、どのような人にも伝わると思います。」
ウクライナ国歌の演奏の際には、ディミトルさんは胸に手を当てて、音色に耳を傾けました。
ウクライナから三次市に避難 ディミトルさん
「戦争が早く終わりますように一生懸命祈っています。祈りながら、わたしたちも気持ち的にがんばっています。戦争が終わったら平石さんと岡野さんにぜひ、ウクライナに来て演奏してほしいです」
バイオリン 平石英心さん(14)
「ちょっとでもウクライナのためになったらいいなと。できるだけ早く戦争が終わって、平和な日常が戻ったら、ウクライナでコンサートができたらいいなと思います」
今回のコンサートの収益はおよそ70万円で、人道支援に充てるためウクライナのロータリークラブへ寄付するということです。
平石さんは、8日、留学先のドイツに戻ったため、一連のチャリティコンサートは今回が最後となりましたが、ことしの夏には戦争が終わっていることを願い、「復興支援コンサート」として再開させたいとしています。