山北町、出産時のタクシー代補助開始 神奈川県立足柄上病院の分娩廃止で

県立足柄上病院=松田町松田惣領

 神奈川県立足柄上病院の分娩(ぶんべん)廃止を巡り、山北町は4月下旬から妊婦を対象に出産時の病院までのタクシー利用料金片道最大1万3千円を補助する制度をスタートした。足柄上地域には周辺に分娩可能な病院がなく、同様の助成制度を大井町が導入し、松田町も準備を進めるなど救済措置の取り組みが広がる。

 町内に住民登録し、母子健康手帳を交付された妊婦が対象で、町外で「里帰り出産」する場合でも支援を受けられる。急な陣痛に見舞われた時や妊娠後期の通院など片道5回分までのタクシー代が助成される。

 山北町の箒沢地区から最も近い小田原市立病院まで深夜時間帯ではタクシー代は片道1万3千円がかかる。少子化が急速に進み、町内の年間出生数は約20人。町はそのうち10人程度の利用を見込み、事業費40万円を盛り込んだ一般会計補正予算案が4月の町議会臨時会で可決された。

 同病院は産科医不足や新型コロナウイルス禍を受けて2020年から産科を休診。県と小田原市などは21年、分娩機能を同市立病院に集約することで合意した。

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