「戦争になるなんて」 相模原に避難の男性、家族のため働く道選ぶ

9日、相模原市役所で取材に応じたウクライナ人のオレクシさん

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2カ月が過ぎた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、国外への避難民は約500万人を超える。母国から遠く離れた相模原市で先月から避難生活を送るマイボローダ・オレクシさん(33)は9日、心境を語った。「だれも戦争になるなんて思っていなかった」─。

 最後にウクライナの地を踏んだのは昨年12月だった。仕事のため、ポーランドへ向けて出国。その前日に実家の家族と会ったが、どんな話をしたのかは覚えていない。

 ウクライナ北東部のハリコフ州で生まれ育ち、かつては電車の整備士として働いていた。ポーランド滞在中にロシアの軍事侵攻が始まり、オレクシさんは選択を迫られた。「ウクライナに帰って戦争に参加するか。それとも、(親戚のいる)日本に避難して家族のために働くか」

 母国のために戦いたいという思いが強かったが、家族のために日本で働く道を選択せざるを得なかったという。4月下旬、ポーランドからいとこの住む相模原市に避難した。

 同市で生活を始めて半月。市営住宅への入居も決まり、近く仕事探しも行う予定だ。「静かで平和な街だと思う。早く仕事を見つけたい」と話す一方、「祖母、母が心配」と表情を曇らせる。

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