ヘリコプターでキャッチ! ロケットラボが「エレクトロン」第1段の空中捕獲に成功

小型ロケットの打ち上げを行う民間宇宙企業ロケットラボは、ニュージーランド時間2022年5月3日10時49分、ニュージランドのマヒア半島にある同社の打ち上げ施設「Launch Complex 1」から、26回目となる「エレクトロン」ロケットの打ち上げを実施したと発表しました。

ロケットには小型衛星34基が搭載されており、無事に所定の軌道へ投入されました。また、同社によると、今回はロケットの第1段機体をヘリコプターで空中キャッチすることに初めて成功したということです。

【▲ ロケットラボの「エレクトロン」ロケット打ち上げ。第1段機体の空中キャッチに成功した(Credit: Rocket Lab)】

ロケットラボは2019年8月に、エレクトロンロケットの第1段機体をヘリコプターで回収し、再利用する計画を発表。同社はこれまで3回の打ち上げミッション(第16・20・22回目)において、第1段機体を制御させて海上へ落下させていました。同社は、機体の回収と再利用により、ロケットの打ち上げ頻度向上を目指しています。

今回の打ち上げミッションは「There And Back Again(そこに再び戻る)」と呼ばれています。打ち上げ中に第2段から切り離されたエレクトロンの第1段機体は、時速8300km・摂氏2400度という再突入時の速度と温度に耐えるために姿勢を制御しながら降下し、パラシュートを展開。高度約2000mにて同社の「シコルスキー S-92」ヘリコプターが第1段機体へ接近し、フックのついた長いケーブルをパラシュートにひっかけて、初めて空中でキャッチすることに成功しました。

しかし、キャッチには成功したものの、ヘリコプターのパイロットは「以前のテストで経験したものとは異なる負荷」を検出したため、着水させるために第1段機体を切り離しました。海上に着水した第1段機体は同社が所有する回収船によって引き上げられ、同社の工場へと運ばれており、次の打ち上げおよび回収に向けて分析や評価などが実施されるということです。

【▲ ロケット第一段機体を回収するヘリコプター「シコルスキー S-92」(Credit: Rocket Lab)】

なお、このミッションでは、6社の小型衛星合計34基が打ち上げられました。

E-Space社が開発する3基の技術実証衛星は、追跡されていない宇宙物体との衝突を避けることができる衛星システムを実証します。Spaceflight社が搭載する2基の小型衛星は、「Internet of Things(IoT)」コンステレーションのために打ち上げられました。Unseenlabs社が開発する海洋状況監視衛星「BRO-6」Alba Orbital社の光害観測実証衛星、ニュージーランドに本社を置くAstrix Astronautics社が開発する小型衛星の電力制限を向上させる実験衛星も搭載されていました。また、フィンランドに本社を置くAurora Propulsion Technologies社が開発する、スペースデブリを除去する衛星「AuroraSat-1」も打ち上げられました。

今回の打ち上げ成功により、これまでに146基の衛星がエレクトロンロケットで打ち上げられたことになります。

【▲ ヘリコプターから撮影されたエレクトロンの第1段機体(Credit: Rocket Lab)】

文/出口隼詩

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