ヴェルフェ矢板が10年ぶり天皇杯切符 PK戦の末、栃木シティ破る

PK戦でシュートを止めるヴェルフェ矢板のGK小林

 天皇杯全日本サッカー選手権予選を兼ねた「第27回NEZASカップ県サッカー選手権大会」(県サッカー協会主催、下野新聞社など共催)最終日は8日、県グリーンスタジアムで決勝を行い、ヴェルフェ矢板(関東2部)が3-3、PK戦4-3で栃木シティFC(関東1部)を破って10年ぶり3回目の天皇杯出場を決めた。

賭けた攻撃力 執念の下克上

 ヴェルフェ矢板の歓喜の雄たけびが、スタジアムに響き渡った。延長前半に2失点を喫した土壇場からの下克上。「選手たちが本当によくやってくれました」。笑顔が弾ける選手たちのそばで鷹觜倫弘(たかのはしともひろ)監督は声を震わせた。

 延長前半11分で1-3。残された時間は20分足らずでも「誰も下を向いていなかったし、諦めていなかった」とDF秋谷直紀(あきやなおき)主将。延長後半開始直前、誰からか出た「攻めに出よう」の言葉通りリスク覚悟で前に出た。

 サイドチェンジで栃木シティの守備を揺さぶり、2列目から選手が飛び出し好機を演出。事前の分析を生かす戦術が実った。延長後半5分に相手スローインを拾ったMF村上達哉(むらかみたつや)1点を返すと、その5分後に再び村上が決めて雰囲気を一変させた。

 「1点目は練習通りのシュート。2点目は気持ちで打った」と興奮気味に振り返った村上。PK戦ではベテラン39歳のGK小林庸尚(こばやしのぶひさ)が仁王立ち。味方のPKを見ずに心を整え、3、5本目を冷静な読みと判断で止めて10年ぶりの扉を開いた。

 選手全員が仕事を持つアマチュアチームがつかんだ晴れ舞台。掲げる目標は2回戦で待ち受けるJ1湘南への挑戦だ。秋谷主将は「何が何でも1回戦を勝ちたい」。格上撃破の勢いそのままに、ヴェルフェの飽くなき挑戦は続く。

優勝したヴェルフェ矢板
PK戦でシュートを止め、雄叫びを上げるヴェルフェ矢板のGK小林

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