21機関で救急搬送受け入れ制限 沖縄コロナ拡大、医師「医療崩壊へ進んでいる」

 大型連休終盤から新型コロナウイルスの感染者が2千人を超えた影響で、沖縄県内の21重点医療機関では救急搬送の受け入れを断続的に制限する事態に陥っている。医療従事者の感染による欠勤で病床確保も難しくなっており、県コロナ対策本部の医療コーディネーター・佐々木秀章医師は「医療崩壊のシナリオへと進んでいる」と警鐘を鳴らす。
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 県内では新型コロナ以外の病床使用率が慢性的に高止まりする中、感染拡大で集中治療室の病床確保も難しくなっている。やむを得ず救急搬送の受け入れを一時的に停止する病院もあり、佐々木医師は「コロナ以外の重症患者の行き場が無くなりつつある」と頭を抱えた。

 県対策本部の入院調整も難しくなっており、比較的リスクが高いとされる高齢者でも、自宅療養や訪問看護を案内する事例が増え始めている。

 病院受診も症状に応じて優先順位を付けざるを得ない状況となっており、佐々木医師は「電話口で県民から『受診拒否か』と詰め寄られても、より優先度の高い人がいると説明するしかない」と話した。

 県疫学統計・解析委員会は10日、今週の新規感染者が1万3千人~1万9千人、入院患者は410~480人が見込まれると発表した。同委員会は高齢者への感染拡大が続くと、5月中旬には病床不足が顕在化し「コロナに限らず必要な医療が提供できなくなる」としている。

 (嘉陽拓也)

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