日本海ファーム 香港へ上越産鶏卵輸出 年間570トン 安定収益見込む

 採卵養鶏の日本海ファーム(柿崎区)が、香港への鶏卵輸出を始めた。県内企業が香港へ鶏卵を輸出するのは初めて。年間約570トンの鶏卵を新潟港から釜山(韓国)経由で輸出する。

 新型コロナウイルスの影響で外食産業の鶏卵消費が落ち込む中、日本産鶏卵の消費意欲が旺盛な香港市場で安定的な収益を得たい考えだ。

 10日、同社のGPセンター(鶏卵の自動選別・包装施設、上越市石橋新田)で初荷となる約11トンの鶏卵がトラックに積み込まれ、新潟港へ向かった。鶏卵を積んだ船は14日に出港し、下旬には香港に到着する予定。保冷庫は0~5度に保つが、店頭に並ぶまで時間がかかるため、加熱消費用と明記して販売する。同社は毎週11トン程度の出荷を予定する。

初荷として出荷された約11トンの鶏卵

 香港での販売は現地の食品大手「四洲集団(フォーシーズグループ)」と連携する。農林水産省によると、2019年における日本産鶏卵の輸出先は量・額とも90%以上を香港が占める。品質の高さや安全性が評価され、現地での売り場拡大もあり消費が急拡大している。

現地では「生命の素」の名称で販売する

 日本海ファームは約25万羽の採卵鶏を飼育。コロナ禍で業務用鶏卵消費の減少が続くとみて、昨年末に輸出の事業化を決定した。香港への輸出に必要となる「輸出卵等取り扱い施設」の登録は2月に済ませた。川原正嗣常務は「国内は相場で価格が変動するため、コスト積み上げ式で販売できる香港への輸出は、安定的な収益が見込める」と話した。

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