横内正×シェイクスピア『十二夜 Twelfth Night』開幕!不滅のラブコメ、最後はハッピー!

昨年公演「KingLEAR&MACBETH2021」に続き、ロマンティックコメディ『十二夜 Twelfth Night』、5月11日よりこくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて開幕。

舞台『十二夜 Twelfth Night』の全10ステージの公演、長らく続くコロナ禍時代に良質なロマンティックコメディを届けたいと企画した舞台。
シェイクスピアの表現には疫病や感染への言及が多々潜んでいるが、これは当時、ペストの感染の危険性が常に高かったから。
たとえば『十二夜』冒頭のオーシーノ公爵のセリフ──「ああ、この目が初めてオリヴィア姫を見たとき、あたりの空気が清められるようであった」(河合祥一郎訳)直訳すれば「疫病の空気が浄化されるようであった」となる。オリヴィア姫が男装のヴァイオラに惚れてしまうとき「こんなにも急に恋患いに罹ってしまうものなの?」(河合祥一郎訳)と言うセリフも、直訳は「こんなにも急に疫病に罹ってしまうものなの?」となる。恋は疫病という隠喩。また、『ロミオとジュリエット』でも、手紙をマンチュアにいるロミオに届けるために使者僧ジョンを送ったが、彼が道連れに選んだ僧がちょうど病人を見舞に行ったところで、運悪くそこで検疫官に見咎められてしまい、戸口は封印され、一切の外出が禁止されてしまい、それで、肝心のマンチュア行きが、すっかり遅れてしまった。その結果、一時的に眠っているジュリエットが本当に死んでしまったと思い込んだロミオは、悲嘆にくれ自害する場面へと劇は一直線に進んでいく。ちなみにペスト菌は元々、中央アジアで発生したが、ヨーロッパとの交易や交通の発達、侵略などでヨーロッパ全土に広がった。

今回の公演は、 英国の劇作家・詩人である ウィリアム・シェイクスピアの作品「十二夜」を、俳優 “横内正” が上演台本・演出する舞台となる。 台本訳は文化功労者であり英文学者・演劇評論家の小田島雄志氏(東京大学名誉教 授・東京芸術劇場名誉館長・日本演劇協会理事)の翻訳作品(白水社刊)を使用。
2016年より開催してきた一連の舞台 “横内正×️シェイクスピア” シリーズが、2022年はコロナウイルス感染症で疲弊した社会に笑いと喜びを。また新作となる『十二夜 Twelfth Night』は、 シリーズ初演ということで衣装デザイナーを一新。 エアリーでハッピーオーラ満載の衣装が特徴である「RuuRuu」を起用。
雷鳴が轟く、大嵐、雨が激しく降る音、そして…ヴァイオラは運良く助かった。兄がいない、彼女は兄が死んでしまったと思い込み、身を守ために男装、シザーリオと名乗り、公爵オ―シーノの小姓になるが…。

数えきれないくらいに上演されているので、物語の説明は不要だが、今回のキャスト、侍女のマライア以外は全て男性。シェイクスピアの時代、映画『恋に落ちたシェイクスピア』でも描かれていたが、英国エリザベス朝時代の演劇では、男性だけが舞台に立つことができた。女性役は少年俳優が演じることになっていた。この習慣を逆手にとって評判になったのが、この『十二夜』。女性が男性を装い、さらにセバスチャンとヴァイオラは双子、瓜二つという設定で、物語の後半、死んだと思っていた兄が実は生きていて、周囲を混乱に陥れる。この二重三重に約束事を重ねたことが、当時の観客には大ウケ。巧みな演出と高いストーリー性で、現在でも国を問わず絶大な人気を誇る。今回の『十二夜 Twelfth Night』、元々の上演形態に近いと言える。また、ヴァイオラが名乗る「シザーリオ(Cesario)」という名前であるが、ラテン語のCaesariusのイタリア語形で「シーザー」のものという意味、これがさらに転じて「手を触れてはならぬ」という意味になるそう。

ヴァイオラは男性を拒絶するために男装するわけだが、彼女はこともあろうに公爵オ―シーノを好きになってしまい、虚の存在であるシザーリオにオリヴィアが恋してしまう、という三角関係的状況。だが、兄の出現により、一気に解決。

また、もう一人のメインキャラクターである執事マルヴォーリオ、堅物で自惚れ屋というキャラクター、彼に一泡吹かせようといい大人が悪巧み。サー・ トービー・ベルチとサー・アンドルー・エイギュチーク、道化のフェステ、オリヴィアの侍女マライア、頭の良いマライアの策略、マルヴォーリオに偽手紙、狂人扱いをすることで憂さを晴らそうとする。このサブストーリーとメインストーリーの恋の物語が交錯する。これを軽やかに見せる『十二夜』、ここにこの戯曲の面白さがある。

キャストも実力のある布陣。脇を固める”シニア軍団”、上杉陽一、綾田俊樹、山下禎啓のトリオ、挙動、表情がいちいち面白く、また、綾田俊樹が軽やかにステップを(笑)。加納幸和は生真面目で堅物で小言ばかりいう執事を背筋ピンと伸ばして!後半、偽手紙で我を忘れたような挙動、この落差が見もの。このカンパニーでは唯一の女性、一色采子、表情が豊かすぎて(笑)、出てくるたびに期待、特にマルヴォーリオに偽手紙を出そうという悪巧みを語るところは、本当に”ワル”(笑)。公爵オ―シーノは合田雅吏、堂々たる佇まいで”公爵”。そして若手の活躍、松田岳と高崎俊吾、堀田玲央。高崎俊吾は男装する女性という難役、可愛らしく、少女っぽい雰囲気、松田岳のセバスチャンは清々しい雰囲気、堀田玲央のオリヴィアが可憐。ところどころに歌を挟んで進行、衣装がカラフルで楽しく、ハッピーな気分に。細かいところまで行き届いた衣装、これだけでも一見の価値あり。そして海援隊の千葉和臣が生ギターを!これは贅沢。そして神父役でも活躍。

良質でロマンティックなラブコメディ、そしてちょっとすったもんだもあって何度観ても飽きない『十二夜』、演出は横内正。『リア王』『マクベス』、そして『十二夜』、次を期待してしまうのは気が早いかも…。

あらすじ
双子の兄妹セバスチャン(松田岳)とヴァイオラ(高崎俊吾)の乗った船が難破し二人は生き別れに。妹はイリリアの海岸に流れ着く。
兄が死んだと思いこんだヴァイオラは身を守るため男装し、シザーリオと名乗り、公爵オ―シーノ(合田雅吏)の小姓となる。
ヴァイオラはオ―シーノに恋心を抱くが、伯爵家の女主人オリヴィア(堀田玲央)に恋するオ―シーノは想いを伝えるためヴァイオラ/シザーリオを使いに出す。複雑な気持ちでオリヴィアに会うが、オリヴィアはヴァイオラ/シザーリオに一目惚れ。
オリヴィアの屋敷では、伯父のサー・トービー・ベルチ(上杉陽一)、オリヴィアに求婚するサー・アンドルー・エイギュチーク(綾田俊樹)が道化のフェステ(山下禎啓)と共に、毎晩飲んだくれていた。堅物の執事マルヴォーリオ(加納幸和)は彼らを強く叱責。普段からマルヴォーリオを煙たく思っていた彼らは侍女のマライア(一色采子)も引き入れて仕返しを計画。その結果マルヴォーリオは幽閉されることに。一方、ヴァイオラの兄セバスチャンも生きていた。
瓜二つの兄妹を巡って周囲は大混乱!

概要
日程・会場:2022年5月11日(水)~5月15日(日) こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ
原作:W.シェイクスピア
訳:小田島雄志(白水社刊)
上演台本・演出:横内正
出演:
合田雅吏 / 松田岳 高崎俊吾 堀田玲央 / 一色采子 / 加納幸和(花組芝居)
上杉陽一(円) 綾田俊樹(東京乾電池) 千葉和臣(海援隊) 山下禎啓(花組芝居) 加藤頼(俳優座) 宮本大誠小山晶士 秋葉陽司(花組芝居) 永澤洋(花組芝居/スーパーエキセントリックシアター) 須賀大輔 木下隼輔
プロデューサー・運営管理:イトーノリヒサ
制作統括:詩笛立季
主催・企画・製作:TYプロモーション
[公式SNS]
『十二夜 Twelfth Night』公式サイト https://www.ty-promotion.com/twelfthnight
『十二夜 Twelfth Night』公式Twitter https://twitter.com/typromotion
TYプロモーション公式ホームページ https://www.ty-promotion.com

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