ゲーム×日本酒の”破天荒コラボ” 「ゲーミング日本酒」爆誕 元カプコン社員が蔵元 

「ゲーム×日本酒=ゲーミング日本酒」という”破天荒コラボ”が実現した。酒販業者・SakeBottlersは、ゲーマー向け日本酒「GAMING RAINBOW」のクラウドファンディングによる先行販売を6月3日まで実施している。自身もゲーマーだという鈴木将之社長と、過去に大手ゲーム企業・カプコンに勤務していた蔵元・土田酒造・土田祐士社長がタッグ。鈴木氏は「軽い気持ちでは造っていません」と決意を語った。

「ゲームをしながら日本酒を飲む」というカルチャーを作ることを目標に、商品を考案。ゲームファンが満足できるよう細部までこだわり抜いた。缶のラベルイラストレーターには、元カプコンで「ストリートファイター」シリーズなどのイラストを担当した西村キヌ氏と、「Fate/Grand Order」ゲーム内イラストなどを手がけるMika Pikazo氏を起用。中身の酒も2回目の醸造でようやく完成した。

1回目の〝完成品〟は、土田氏が「求めてる味じゃなくなってきた」として、途中で作り直しを申し出た。鈴木氏に提案された「ゲーマーが求める味」を、元ゲーム会社社員の立場で理解しているからこそ、妥協はできなかった。鈴木氏は「『ゲーミング』ってつけたから売れるでしょとか、そういう問題ではないんです」とキッパリ。「企画者も製作者もイラストレーターも、全員、完全なるゲーマーが集まっています。その上で、ゲームシーンに合わせて中身も絵柄も考えて作り切ったものです」と胸を張った。

ゲーマーにありがちな、「リセットしたい」「テンションをあげたい」などという感情を切り替えたい時に気軽に飲める点に加え、一口飲んですぐにゲームに戻れるよう、ペアリングなしで満足できる味にこだわった。甘み、力強さや伸びがありつつもキレがある独特の味わいを「しゃがみ大パンチ味」と表現。あえて必殺技でなく通常技の名前を起用したことには、鈴木氏の強いこだわりがあった。「味が強かったり、おいしすぎると日本酒に夢中になってゲームに戻れなくなるんですね。適度なおいしさであり飲み続けられるという味にしました」。アルコール度数は従来品より控えめで、12度に設定されている。

RPGだけでなく、対戦ゲーム中にも飲むことを想定したというが、酔うと操作精度が落ちることが懸念される。鈴木氏は、プロゲーマーなどの競技シーン向けでないことを強調しつつ「ネット対戦において、対戦が終わった後とかの待ち時間が多いんです。チーム戦のFPSゲームだと自分が落とされた後、残りのメンバーがプレイしているのを見ているときに飲んで楽しみながら応援してほしい」と説明した。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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