「子育てで大事なのは“完璧な親より ほどほどの親”」 小児科医“ばぁばみちこ”からエールを込めて 若い親たちへ

こちらの本「ばぁばみちこよりエールを込めて」。あるベテラン小児科医が、若い親たちに向けて出版したものです。

RCC

医療現場の最前線で小さな命を救い続けて42年以上…。その本に込めたメッセージとは…。

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「ばぁばみちこ」こと、林谷道子さん、72歳。現役の小児科医です。

ばぁばみちこ 林谷道子医師
「(聴診器をあて)もしもししてもいい?」

RCC

「この子、市民病院に勤めていたときにいた子なんです。今、30代よね。大きくなって。いい男さんじゃけ」

みちこ先生は、勤務していた広島市民病院で新生児医療の責任者を務めるなど、42年間にわたって医療現場の最前線で小さな命を救い続けました。

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みちこ先生がいた病院には、一刻を争う危険な状態の子どもたちが次々と運ばれてきます。当時は1年365日24時間、気の休まるときはありませんでした。

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元広島市民病院 院長 岡崎富男さん
「ぼくは目の当たりにしているので、本当にたいへん。子どもはものを言ってくれない。しかも病状の進行は非常に早い」

RCC

林谷道子医師
「元気で退院していった赤ちゃんよりも障害が残った赤ちゃんへの思い入れの方が強いですね」

病院を退職した後もみちこ先生は、乳幼児健診などを続けながら、医師として障害者福祉施設に通っています。

RCC

林谷道子医師
「きょうからずっと3年間じゃね。お母さんがさびしくなるってよ」

みちこ先生が新生児のときに治療をした患者が、この日から入所することになりました。

RCC

新生児のときに治療を受けた患者の母親
「いくら間が空いても覚えてくださって、『覚えてるよ!』って、いつも元気に声をかけてもらって。それだけで力をもらえる先生です」

「ひとりで育てるのはしんどいですよね」
「しんどいよ。しんどいと女性が声を上げだしたというのはすごく大事なこと」

RCC

みちこ先生は、重い障害のある子を持つ親たちの団体から依頼され、毎月、子どもの医療に関する情報をブログ「ばぁばみちこの部屋」に書いています。

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ここすまネット 中川史代表
「あのとき、ちょっと気をつけていたらと後悔されている方もいらっしゃる。気をつけていることで防げるのであればというメッセージを込めてブログを書いてもらっている」

このブログをまとめて書籍化したのが、「ばぁばみちこよりエールを込めて」です。

RCC

小さな子どもに起こりやすい事故や感染症の防止策などについて、わかりやすく紹介がされています。

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林谷道子医師
「たとえば、誤えんなら飲み込みやすいものってあると思うんですよね。ブドウ、小さいトマト。ミニトマト。滑りやすいものが危ないんです。子どもに食べさせるときに1つ切ってあげるだけで、誤えんが防げたりとか」

RCC

出版した本は、広島市をはじめ、公的な機関に寄贈されました。1人でも多くの親たちに読んでもらいたいという思いからです。

RCC

林谷道子医師
「知らなかったために子どもの事故とかありますよね。見るたびにもっと知っておいてもらったらよかったのにという後悔の念もわたし自身あって」

みちこ先生は、若い親たちが子育ての中で孤立して、自分を追い込んでいるのではと心配しています。

ばぁばみちこ 林谷道子医師
「子育ての中で一番大事なことは、完璧な親よりほどほどの親って。予防できるものは予防しながら、子どもをリラックスして育てられるようになったらいいなと思っています」

RCC

― みちこ先生は、自分が治療した子どものほとんどを覚えていて、お母さんたちに逆に驚かれる事がよくあるそうです。小さな子どものまわりには危険がいっぱい。転落事故が最も起こりやすい場所は、ソファやイス。小さな子どもは体温調節な苦手なので、これからの季節は熱中症や脱水に注意を。

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