政治にちょっと関心があるけど、ちゃんと調べるほどには興味ない!
そんなあなたに選挙ドットコム素人代表ひがしが政治や選挙にまつわる専門用語を簡単解説するコーナー、第8回は「文書通信交通滞在費(文通費)」です。
国会議員がもらえるお給料?何に使えるの?何が問題になったの?気になる疑問にお答えします!
ずばり、文書通信交通滞在費とはなんだろう?
文書通信交通滞在費とは、かつて国会議員に月100万円支給されていたお金です。
国会議員のお給料(歳費)はボーナスを合わせて年2180万円。
それとは別に月100万円もらえる手当のようなお金が文書通信交通滞在費です。
略して「文通費」と呼ばれます。
(それ以外にも国会議員になるともらえるお金はありますが、ここでは割愛します)
文通費は何に使うお金なのでしょうか?
実は、文通費は政治活動を支える経費として、領収書の提出なく使えるお金なのです。
「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため(歳費法第9条)」と目的が定められてはいますが、使い道を公表する必要がない以上、私的にも使えてしまうのですね。
ちなみに、なぜ「かつて」と表現したかというと、文通費は国会での議論を経て「調査研究広報滞在費」と名前を変えたからです。
文書通信交通滞在費の何が問題だった?
2021年10月31日に実施された衆議院議員選挙のあと、文通費は国会で取り上げられるようになりました。
新人議員は10月は1日だけ国会議員だったことになりますよね。しかし、文通費は満額(100万円)支給されたそうです。
このことが話題になり、自分の政党はどうする……与野党は日割り支給にするのか……そもそも使い道の公開はしたほうがいいんじゃないか……使わなかったぶんを寄付すればよいのではないか……等々話し合い、法改正が行われました。
特に問題視されたのは、使い道の公開と、未使用分をどうするかでした。
立憲民主党・無所属会派は、文通費の日割り、差額国庫返納、使途報告・公開などを義務化する歳費法改正案を衆院に提出しました。
また、日本維新の会の議員は独自の取り組みとして、自主的に公式webサイトで文通費の使い道を公開しています。
そして、もう1つ議論の対象になっているのが、この文通費が非課税であることです。
民間企業でも交通費は15万円を超えると課税され、住宅手当は全額課税されてしまうのに、文通費はなぜ非課税?という声もあがっているそうです。
文通費は「調査研究広報滞在費」へ
2022年4月15日、法案が成立し、文通費は「調査研究広報滞在費」へと名前を変えました。
特徴は以下のとおり。
- 日割り支給
- 目的は「調査研究」「広報」「国民との交流」「滞在」へ
- 領収書の公開に対する消極的な意見もあり、使い道の公開や未使用分をどうするかはいまだ検討が始まっていない
目的の範囲が広がり、月額から日割り支給へと変更になった「調査研究広報滞在費」ですが、現状、過去の文通費時代から革新的な変化はありません。
今後議論が深まっていくことを期待しています。