<金口木舌>悪い円安、政府日銀は何点?

 「子どもの同級生の母親に『息子のテストの点数、今日の円相場と同じだったの』と自慢された」。小学生のころ、新聞にこんな小話が掲載されたのを覚えている

▼1994~95年当時は1ドル=100円を切り90円台後半の日も多かったことから、遠回し?な自慢に使えたのだろう。130円台にまで円安になった現在では、別の自慢の方法を考えねばなるまい

▼日本では従来、輸出の収益が減少する円高を避けようと、円高恐怖症の裏返しとも言える円安志向を続けてきた。しかし今回の円安は、景気を冷やす「悪い円安」と指摘される

▼ウクライナ情勢も重なり食料品やガソリンなどの値上がりが相次ぎ、特に島しょ県で車社会の沖縄では生活支出が増え、家計を圧迫している。本来、円安局面になると増えるはずの外国人旅行者の消費も、コロナ禍で入国制限が続いており需要が見通せず、泣き面に蜂の状態だ

▼企業収益と家計への逆境が続くほど、打開に向けたリーダーシップを発揮できない政府と日銀への採点は辛い点数になりそうだ。

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