岸田首相「辺野古唯一」 本紙インタビュー 鉄軌道、需要見極め

 【東京】岸田文雄首相は11日までに沖縄の日本復帰50年について、本紙の書面によるインタビューに応じた。宜野湾市の米軍普天間飛行場返還に向けた解決策について「辺野古移設が唯一」との見解を改めて示した。過重な基地負担など沖縄の諸課題への取り組みでは、1971年の「屋良建議書」の意見について「政府として受け止めてきた」とし、県民の意見を聞く姿勢を示すなど「聞く力」を強調した。

 沖縄振興の一環で県が求める鉄軌道について、即時の事業化に消極的な姿勢を示した一方で、県北部の世界自然遺産登録を「需要増加につながる動き」として波及効果を見極める構えを見せた。

 50年にわたる振興策などで「沖縄経済は着実に成長した」とする一方で「全国最下位の1人当たり県民所得」「子どもの貧困問題」を課題とした。なお残る過重な基地負担は「到底是認できるものではない」としたが、具体的な解決策には触れずに「一つ一つ取り組み、結果を出していく」と述べるにとどめた。

 「北部訓練場の過半の返還」と浦添市の牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の返還が盛り込まれた2013年の「沖縄統合計画」の決定を基地負担軽減の実績として強調。日米地位協定に対しては改定や見直しの検討には踏み込まなかった。(安里洋輔)

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