ニューヨークで学ぶ! 楽しむ! 子供の習い事最新情報

新しい生活がスタートする5月。この時期に子供に習い事をさせたいと考える親も多い。子供向けの習い事教室の傾向や日米の違い、選ぶときの注意点やポイントなどについて、教育コンサルタントの船津徹さんに話を聞いた。


教室選びのポイントは?

ニューヨークの習い事事情を解説

最近の子供の習い事の
傾向は?

日本人が選ぶ子供の習い事は昔からあまり変わっていなくて、集団でやるものよりも、水泳やバレエのような比較的個人で練習するもの、公文やそろばんのような勉強系、周りに日本人が多い、サッカーやバスケットボールの日本人リーグなどを選ぶ傾向があります。

アメリカで習い事をさせる上での注意点は?

アメリカの家庭は、子供が5、6歳になるとチームスポーツに参加させてリーダーシップやコミュニケーションスキル、チームワークなどを身に付けさせます。日本だと習い事は練習ばかりしているイメージがありますが、アメリカでは練習は基本的に自宅でやり、初心者でもチームに入って毎週試合があります。

習い事に入れておけば子供は勝手にうまくなるだろうと丸投げするのは大間違い。まずそこを知っておいてください。親も、子供が家庭でコツコツと練習を積んで技能を伸ばせるようにサポートすることが大切です。

アメリカでおすすめの
習い事は?

英語でのコミュニケーションスキルや英語力が身に付くという意味でも、地域のチームスポーツに参加させることをおすすめします。親も地元のアメリカ人の父兄から貴重な学校や教育の情報などを教えてもらえます。また、必ずボランティア活動をやるので、地域社会への貢献を知るいい経験になります。

演劇もおすすめです。演劇は英語力、話す力、コミュニケーション能力、チームワーク力などを高く伸ばしてくれます。また、引っ込み思案で人前に出るのが苦手というお子さんに自信を付けさせることにも役立ちます。

アート系もいいですね。美術館や博物館で行っているサマープログラムや期間限定のクラスに参加すれば、将来につながるいい経験になるでしょう。

パンデミックで人と関わる場が減り、英語力やコミュニケーション能力の低下が懸念されるので、それを解消するためにも習い事の場を活用してほしいです。

どんな視点で選ぶべき?

親が子供の気質を見極めて、それに合ったものを選んであげることが重要です。例えば、こだわりの強いオタク系の「研究者タイプ」は、ロボティクスなどに参加すると伸びるでしょう。負けず嫌いで競争好きな「商人タイプ」には、集団スポーツが向いています。個性的で活発な「パフォーマータイプ」は、アート系やフィギュアスケートなどがおすすめ。コミュニケーションが好きで人懐っこい「共感タイプ」は、演劇や吹奏楽が合います。

子供は習い事が気質に合っていると楽しいのでどんどん上手になっていきます。決める前にトライアルクラスに入って、レベルや指導者のやり方なども確認しておきましょう。

習い事を通して子供に特技や強みを作ってあげると、勉強では得られない、考える力やコミュニケーション能力、チームワーク力が身に付き、世界中どこでもやっていけるたくましいお子さんになります。

お話を聞いた人

船津徹さん

TLC for Kids代表、教育コンサルタント。
大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事し、2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾、TLC for Kidsを開設。
15年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。17年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000人以上のバイリンガルの子供の教育に携わる。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

ニューヨークで通えるおすすめの習い事

オンラインや対面で参加できる、さまざまなジャンルの習い事をピックアップ!


バレエ

**レベル別クラスで学ぶ
ニューヨーク・ダンス・アーティストリー(NYDA)**

「コロナ禍は本当に厳しかったです」と言うNYDA元ハリヤマバレエ主宰の針山真実さん。パンデミック時はリモートクラスのみだったが、現在はスタジオでの対面クラスをメーンにリモートクラスも残す。コロナ禍で中断していた年2回の発表会も今年はシアターでのステージが再開した。

キッズクラスは年齢別に3クラス。3、4歳クラスはレッスンの流れを理解して練習に慣れ、ストレッチやリズム運動などで基礎を学ぶ。5、6歳クラスからバーレッスンが始まり、練習の種類も増える。7、8歳クラスは難易度も上がり、片手バーでの練習やセンターワークが入る。上達の秘訣は継続だそうで、4歳から練習を重ね、発表会で主役を踊るまでになった子もいる。

インストラクターの長谷川由衣さんは、「親御さんから、礼儀や挨拶が身に付いた、体力が付いた、お友達ができたとの声をいただきます」と喜ぶ。みんなで行動する社会性、うまい子に追いつきたいと頑張る競争心、舞台に立つ度胸など、学ぶことが多いと針山さんは話した。


テニス

日本の部活動を目指す
ウェストチェスター・アベニュー・テニスクラブ(WATC)

WATCプログラムが提供する、5歳から高校生を対象にした日本語でのテニス教室。指導するのは全米プロテニス協会公認指導員・知花泰三さんだ。「うちはジャパニーズテニス道場です」と笑う。楽しさを厳しさという柱で支えるのが知花さんの指導だ。「基礎体力を付けるために、とにかく走る。走れるということは自信につながる。汗もたっぷりかいてもらう」と知花さん。レッスンでは「走り」と「テニス指導」の比率に悩んでいると言うが、生徒からは「球を打つこととトレーニングのバランスがよくて好き」と評判は上々。保護者からも「生徒の性格を考慮し、テニスだけでなく人としての成長もサポートしてくれる。安心して子供を預けられる」と信頼を勝ち得ている。

生徒たちは普段、現地校、日本人学校、補習校と、別々の学校に通っており、週1回この「テニス道場」で仲間に会うことを楽しみにしているという。3~6人のグループレッスンで、レベルや年齢によって「レッドボール(5~8歳の初心者)」「オレンジボール(7~11歳向け初心者)」など幾つかのクラスに分かれる。初心者クラスでは、基礎を中心にフォームを覚えることから始める。クラスの詳細についてはHPから。


音楽・楽器

自宅訪問で個人レッスン
ウィラン・アカデミー・オブ・ミュージック

2015年開校の音楽学校。ピアノ、バイオリン、ギター、チェロ、フルート、サクソフォン、ウクレレ、歌唱のプライベートレッスンを提供する。ギターは同校創設者・幅健司さんが教える。人気のバイオリンも日本人の先生だ。この春からインストラクターが生徒の自宅を訪問し直接指導する本来のレッスンスタイルに戻りつつある。オンラインのプライベートレッスンも継続中だ。

生徒は4歳から8、9歳くらいが多く、高校生や大人もいる。小さな子供の初心者はまず憧れの楽器を触ることと並行し、ドレミファ…をイラスト入りのビジュアルを使いながら教える。演奏にはリズム、音符の読み方といった基礎も大事だ。意外な副産物だがリズムは数学の要素もあり「楽器を習うようになって子供の算数の成績が上がったと保護者から言われる」と幅さんは笑う。

ポップやクラシック、ジャズなど多様なジャンルに対応。生徒の意思を尊重し、楽しく教え、学ぶのがモットー。入口は「大好きなミュージシャンのあの曲をギターでカッコよく弾きたい」で十分だという。今年の夏は2年ぶりにサマーキャンプも行う。1週間毎日ミッドタウンのスタジオに通い楽器を練習する集中コースだ(詳細は5P)。


ダンス

世界を広げるきっかけに
トリプルD・ダンス・アンリミテッド

クイーンズ区を拠点に活動するキッズ・ダンス・クラス「トリプルD・ダンス・アンリミテッド」。同クラスインストラクターのYUYUさんはコロナ禍には休まずリモートクラスを続けていたが、パンデミック後はリモートクラスは週に1日で継続しつつ、週3日対面クラスを再開した。対面クラスではスタジオの窓を開放し、手の消毒やこまめな水分補給など配慮を怠らない。

同クラスではダンスレッスンに加えて、みんなでゲームを楽しんだり日本の学校の体育の授業で行われる縄跳びなどを取り入れて体力作りに力を入れている。また、年1回全員参加の発表会を開催しており、子供たちはその目標に向かって練習を重ねながらチームワークを学んでいく。

「最初はわが子を心配する親御さんが多いですが、発表会でステージに立って元気に踊る姿を見て驚かれます」とYUYUさんはほほ笑む。「発表会を経験してシャイだった子が人前に出ることを楽しむようになったり、おしゃれになったり(笑)。このクラスが子供が変わるちょっとしたきっかけになり、親御さんには、そんな成長する子供の姿を見てもらいたいです」と子供たちが自分の世界を広げていくことを願っている。

日本語

親子クラスと食育クラス
きみこ先生の日本語クラス

絵や工作、ゲームなどのアクティビティーを通して、幼少期から日本語を身に付けるための年齢別のクラスを、オンラインと対面で提供する。パンデミックもピークを過ぎ、ニーズが高まっているのが対面での「親子クラス」。日本語のリトミックと、お菓子を食べながらのほのぼのお茶会だ。子供の日や七夕、イースターやハロウィーンなど、日米の祝日やイベントをテーマに月1、2回開催。0~1歳(午前9時45分から1時間)と、2~3歳(午前11時から1時間)のクラスに分け、親子一緒に参加する。子供たちはリズムに合わせたアクティビティーを通して日本語に触れ、吸収していく。会場にはフォートリーの教会を借りている。

不定期開催だが、オンラインで人気なのが日米同時開催の「食育クラス」だ。全年齢が対象。日本にいる食育指導の先生の下、パンとチーズを使ってトトロを作ったり、きれいな巻きずしを作ったり。日本語・アート・食事を一度に楽しみ、学べる欲張りなクラスだ。保護者からは「子供が食べ物に興味を持つようになった」と喜ばれる。パンデミックを機にオンライン開催となった「ひまわりクラス」(2、3歳)と「ほおずきクラス」(5~9歳)は、今後も続けていく。


リトミック

音楽を通じて「心」を育む
なぎさ先生のリトミッククラス

「リトミックは音楽を使った脳トレ。集中力や協調性を育み、第六感を鍛えます」と話す音楽講師の仮谷和紗(なぎさ)さん。10年間で2000人以上の生徒に教えてきた先生のクラスには、生後4カ月から11歳ぐらいの子供たちが集まる。

コロナ禍に始めたオンラインでのグループレッスンが好評でパンデミック後も続行しつつ、万全なコロナ対策の下で対面レッスンも行っている。レッスンは、先生の生の歌声とピアノの伴奏に合わせての絶対音感トレーニングや、音楽に乗って遊びながら想像力やコミュニケーション能力を高めていく。人前でしゃべるのが苦手な子供も多いそうだが「どの子も子供扱いしないで皆同じように接しています。すると子供は他人を受け入れることに慣れてきてしゃべるようになります」と和紗さんは話す。

「クラスの時間が親子どちらにもリフレッシュになっているようです」と先生。母親たちからは「歌の楽しさや感情の込め方をわかりやすく教えてくれて、子供の上達を実感します」「娘にはとてもいい気分転換になっています」「先生が子供に寄り添ってくれるおかげで子供は毎回確実に何かを習得しています」という感謝の声が寄せられる。


Information

●ニューヨーク・ダンス・アーティストリー(元ハリヤマバレエ)
421 7th Ave., #300
contact@nydanceart.com/nydanceart.com

キッズクラスは3〜4歳対象、5〜6歳対象、7〜8歳対象の3クラスがある。当面はリモートと対面のハイブリッドで行う予定。入会前は体験レッスンを2回まで受講可能(1回25ドル)。

●ウェストチェスター・アベニュー・テニスクラブ(WATC)プログラム
699 Westchester Ave.
Rye Brook, NY 10573
watcprogram@gmail.com
peraichi.com/landing_pages/view/ku8ia
【月〜木曜】午後4時から
【金曜】午後4時30分から
【土曜】午後3時から

●ウィラン・アカデミー・オブ・ミュージック
244 Madison Ave., #171
TEL: 646-838-3990
info@willanacademy.com
willanacademy.com
サマーキャンプ詳細: willanacademy.com/summer-music-camp

●トリプルD・ダンス・アンリミテッド
dddunltd@gmail.com
dddunltd.com
【月曜】フォレストヒルズ
【火曜】アストリア
【水曜】LIC
【木曜】ZOOMでリモートクラス
4歳以上対象に実施。2~4歳児の親子クラス(隔週土曜日)も開催。場所の詳細はウェブサイトへ。

●きみこ先生の日本語クラス
TEL: 917-683-3932
kimikomoye0216@gmail.com
kimikomoye0216.wixsite.com/home
【対面】「親子クラス(0~1歳、2~3歳の2クラス)月1、2回午前中。
「幼児・低学年クラス」水曜午後4時から、木曜午後3時50分からと4時50分から。
「食育クラス」不定期で開催。
【オンライン】「ひまわりクラス」2~4歳、月曜午後6時から。
「ほおずきクラス」5~9歳、木曜午後7時から。
「プライベートクラス」月曜から木曜。

●なぎさ先生のリトミッククラス
japanesesingalong39@yahoo.com
Instagram: @nagisasenseinyc
【水曜】午後7時からオンラインのグループクラス
【日曜・月曜】午後6時30分からオンラインの個人レッスン←現在空きあり
リトミッククラスは生後4カ月から参加可能。対面クラスは不定期で開催。体験レッスンは10ドル。その他、ピアノ、ボーカル、日本語クラスも開催中。


子供だけじゃない!

親子で参加できる習い事

親子で体をゆるめてリラックス
魔法の体操プログラム ゆる体操オンライン教室

ゆる体操指導歴10年以上のリング陽子さんが教える、ゆる体操オンライン教室は親子で楽しく行うクラスだ。「どこでも誰でもできる体操です。立ちゆる、椅子ゆる、寝ゆるなどの体操で体をゆるめて全身の細胞を活発化します。力の抜き方を身に付けると体が楽になり余裕が出て、親子関係も改善されます」とリングさん。例えば「さすりゆる」では親子で体をさすり合うことで絆を強くする効果もあるという。

火・水・木曜日午前8時からと午後8時から30分のオンラインクラスを開催。日程は参加者の都合に合わせて対応可。親子で1回10ドル。初回体験レッスンは無料。

親子で駄洒落(だじゃれ)を言って笑いながら行うのも特徴で、肩を回す時に「ゆったり、ゆったり、ゆ(言)わなかったり」と引っ掛けたり、「クル、クル、サンタさんが来る」と言いながら肘をクルクル回したり。子供は面白がりながら日本語独特の擬態語も覚えていく。笑いながらやることで副交感神経を高めるリラックス効果もあるという。

リングさんは「体をゆすったりさすったりするのでバカバカしくなるかもしれませんが(笑)、理論を知るとやらずにはいられなくなります。親子で楽しく体と心をゆるめてください」と話す。

詳細はメールにて問い合わせる。
yuruwithyoko@gmail.com/Facebook: @Yoko Ring

© Trend Pot NY,LLC