朝鮮のオミクロン対策「防疫戦で主導権、感染源を絶つ」 朝鮮労働党中央委政治局会議の決定事項

オミクロン変異ウイルス「BA.2」が国内で確認され、朝鮮の国家防疫システムが最大非常防疫システムに移行した。朝鮮の国家防疫事業の焦点は、新型コロナウイルス国内流入遮断から国内に流入したウイルスによる感染状況を安定的に抑制・管理しながら感染者を治癒し、最短期間で感染源を絶つことに移った。

政治局会議の決定により最大緊急防御システムが移行した (朝鮮中央通信)

 すべての道・市・郡を封鎖

 12日に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第8次政治局会議では、今後の防疫戦で戦略的主導権を握るための緊急対策が審議され、オミクロン対策として国家防疫事業を最大非常防疫システムに移行させる決定書が採択された。

2020年7月、コロナ感染が疑われる越南逃走者が違法に軍事境界線を越えて帰郷する事件が発生した時も、開城市が封鎖され、国家緊急防疫システムが最大緊急体制に移行したが、当時は感染者が確認されず、封鎖措置は8月に解除された。

政治局会議で当該決定書が採択された後、金正恩総書記は今後の防疫事業で堅持すべき原則と課題を示した。

今後、朝鮮では今回の最大緊急防衛システムの基本目的、すなわち△オミクロン変異ウイルス感染状況の安定的な抑制・管理 △感染者たちの迅速な治癒△最短期間による感染源の消滅-のために全国すべての道・市・郡を封鎖し、事業・生産・生活の単位別に隔絶された状態で人々が活動することになる。悪性ウイルスの感染空間を隙間なく完全に遮断するための措置だ。

労働党と政権機関では、封鎖状況下における住民の不便を最小化し、生活を安定させるための対策を講じることになる。開城市が封鎖された時には、内閣の各省などが中央緊急防疫指揮部の統一的な指示に従って生活安定と防疫事業に必要な物資の移送・伝達を迅速に進めた。今後は、これらの事業が全国的範囲で行われることになる。

また、最大緊急防疫システムの目的を達成するためにすべての住民を対象に集中的な検査・検診を厳格に行い、積極的な治療対策を講じるとともに、各地域・単位で消毒を徹底化する。

政治局会議の決定に伴い、全国すべての道・市・郡を封鎖し、事業・生産・生活単位別に隔離する措置が講じられた (朝鮮中央通信)

 2年間で完成度が増した防疫システム

 4月末から原因不明の熱病が首都・平壌を中心に全国規模で同時多発的に感染拡大したことは、既存の防疫システムにも抜け穴があったということだ。

このような感染状況に追随しながら受け身の対策を講じれば、いつまで経っても感染源を絶つことができないというのが労働党指導部の判断だ。政治局会議の決定事項は、防疫事業での主導権、防疫戦での勝算を積極的に掌握するためのものだ。

金正恩総書記は政治局会議で、われわれには党と政府、人民が一致団結した強い組織力があり、長期化した非常防疫戦の過程に培われ、強固になった人々の高い政治意識と高度の自覚があるので、現在の突発事態に必ず打ち勝ち、非常防疫活動で勝利すると確言した。

朝鮮がオミクロンウイルス流入後の防疫戦でも戦略的主導権を握ることができるという確信は、2020年2月からこれまで2年3ヶ月間にわたって「感染者0」の防疫形勢を保ってきた実績によって裏付けられている。

朝鮮が講じた緊急防疫措置は社会主義保健制度に基づいている。無償治療制度が実施されている朝鮮では、元来、患者が医師と病院を訪れる前に、医師が住民を訪ねて検査・検診することが国の政策となっている。衛生防疫機関が地域内の防疫実態を日常的に確認し、検閲・統制を強化する規律と秩序も確立されていた。

朝鮮は防疫戦の初期に国境と地上・海上・空中などあらゆる空間で新型ウイルスの流入通路を完全に遮断封鎖する先制的な防御対策を講じる一方、緊急防疫の要求に沿って関連する人員を確保・拡大し、関連法を修正補完するとともに国家危機管理の規定を再整備した。

また、当初から防疫戦の長期化を予見し、それに対処するための組織機構的・物質的および科学技術的対策を一貫して講じてきた。その過程で防疫強化に必要な手段が十分に整い、朝鮮式の独自的な防疫システムがさらに完備された。

今後、オミクロンウイルスの感染を抑制・管理するための集中的な検査と治療を行うに伴い「党と政府が今のような緊急時を予見し備蓄しておいた医療品予備を動員するための措置を稼動」(朝鮮中央通信)させたことも、このような文脈で理解することができる。

国家的な緊急防疫指針を厳格に遵守することが強調されている (朝鮮中央通信)

 「防疫は人民保衛の重大事業」

 朝鮮では、新型コロナウイルス対処した防疫措置が「単なる防疫事業ではなく、人民保衛の重大な国家的事業」と規定され、防疫戦が人民の命を守るための人民自身の事業として展開されてきた。

2年3ヶ月間維持された「感染者0」の安定した防疫型勢は、朝鮮式社会主義制度の強靭性を示した。

オミクロンウイルスの感染を抑制・管理する局面でも朝鮮が展開する防疫戦の人民的性格が変わることはなく、今後の実践を通じて社会主義朝鮮の実態が再び検証されることになるだろう。

© 株式会社朝鮮新報社