犬猫にマイクロチップ装着を 改正動物愛護法施行で義務化

ペットショップで販売されている子犬。6月からは販売業者に対してマイクロチップの装着が義務化される=4月下旬、宇都宮市内

 改正動物愛護法が6月に施行され、ペットショップなどで販売される犬や猫へのマイクロチップの装着が義務化される。チップには飼い主の情報を登録するため、安易な飼育放棄を防ぐほか、迷子になった時の返還の手がかりとなる。既に各家庭で飼育されている犬猫については努力義務にとどまるが、栃木県内の関係機関はチップの装着を促す考えだ。

 マイクロチップは直径2ミリ、長さ8〜12ミリ程度の円筒形の電子器具。獣医師が注射器型の専用器具で首の後ろの皮下に打ち込む。一度埋め込むと、首輪や名札のように外れ落ちる心配が少ない。また15桁の識別番号が割り当てられており、専用のリーダーで読み取ると、飼い主の氏名や住所、電話番号などが分かる。

 国内では既に導入されており、複数の民間業者がそれぞれデータベースを作成している。県内では3月末現在、犬や猫など3万7139頭が、日本獣医師会のデータベースに登録されている。

 6月1日に施行される改正動物愛護法では、繁殖業者やペットショップなどの販売業者を対象に、チップの装着を義務化。新たに設けられた国のデータベースに、品種や性別などの情報を登録する。

 チップが装着された犬猫を購入したり、譲り受けたりした場合は、新たな飼い主の情報を登録・変更する必要がある。一方、既に飼っている犬猫については努力義務となる。

 義務化する背景には、安易な遺棄を防ぐほか、迷子になったり災害で離れてしまったりした際に、飼い主を見つけやすくすることが挙げられる。飼い主がすぐに見つかれば、殺処分数を減らすことにもつながる。

 県動物愛護指導センターによると、県内では2020年度、713頭の迷い犬が捕獲され、返還率は29.5%だった。収容された犬のほとんどに、チップが装着されていなかった。また着いていても、正しい住所や連絡先が登録されていないケースもあるという。

 チップの装着費用は、動物の種類や動物病院によって異なるが、数千円〜1万円ほどが必要。県の担当者は「ペットが万が一いなくなってしまった時のためにも、チップを装着してほしい」と呼び掛けている。

犬や猫に装着されるマイクロチップ
マイクロチップ装着・情報登録の流れ

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