去年8月の大雨 「分散避難」の意識高まる 親戚の家やホテルなど 広島県アンケート

本格的な雨の季節が迫っています。災害のおそれが高まって避難が必要になった場合、みなさんはどこに非難することを想定しているでしょうか。去年8月の大雨災害を受けて、広島県が行ったアンケート調査では、市や町が開設する避難所以外を選ぶ「分散避難」の意識が大きく高まっていることがわかりました。

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去年8月、お盆の広島を襲った記録的な大雨…。県の北西部を中心に河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、3人が犠牲となりました。

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県は、警戒レベル4「避難指示」以上の情報が出された地域のうち、「土砂災害警戒区域」や「洪水の浸水想定区域」にいた住民を対象に、事前の避難行動に関するアンケート調査をしました。

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▽事前に何かしらの避難行動をした住民の割合は、洪水の浸水想定区域ではおよそ20%、土砂災害警戒区域では5.7%にとどまりました。

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また、避難をしなかった理由を聞いたところ、土砂災害・洪水ともに半数を超える人が「避難しないといけないほど危険とは思わなかった」ことを挙げました。土砂災害では、「垂直避難で十分だと思った」という回答も20%を超えました。

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国のガイドラインでは、土砂災害の場合、家の2階などに「垂直避難」をしても危険とされています。

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静岡大学防災総合センター 牛山素行教授(災害情報学)
「去年、大雨があった割に人的被害が少なかったのは、積極的な避難の結果などと言われたが、今回の結果を見ると、そうではないとあらためて認識。決して多くの人が積極的に避難したわけではない」

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県の北西部では、降りはじめからの雨量が西日本豪雨を超えた地域がありましたが、短時間の非常に激しい雨は限定的でした。

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牛山素行教授
「雨の降り方がギリギリ大きな被害につながらない程度でおさまった。紙一重。事後の振り返りの情報をもっと解説・提示することがたいへん重要」

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一方、事前に避難行動を取った人へのアンケートからは、市や町が指定した避難所以外を選ぶ「分散避難」の意識が高まっていることがうかがえます。

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避難先として最も多かったのは、洪水では「垂直避難」、土砂災害では「親族の家」で、それぞれ半数以上を占めたほか、「ホテルなどの宿泊施設」を挙げた人も少なくありませんでした。公的な避難場所を選んだ人は2割未満でした。

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牛山素行教授
「行政機関が決めた避難所以外へ避難した人が圧倒的多数だったのは非常に興味深い。現実的に行政が決めた避難所にあまり行きたくない人がかなり多いのだろう。
多様な避難のあり方は間違いではない」

― 牛山教授は、「分散避難」の注意として、各自が判断した避難先が本当に安全なのか、自宅周辺だけではなく、「避難先の危険性」もハザードマップなどで十分確認をと話していました。

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