ムスリム墓地計画 周辺住民怒りの声 大分

10日、日出町はムスリムの土葬墓地建設について事前協議の内容が条例に適合していると判断しました。建設を希望し続けた別府ムスリム協会からは喜びの声が聞かれた一方、建設予定地に反対する杵築市にとっては驚きの報告となりました。

これまでの経緯を振り返ります。

土葬墓地の建設計画が始まったのは2018年のことです。別府ムスリム協会は日出町に建設を相談し、土地の購入や隣接する地区の住民に説明会を開くなど準備を進めていましたが、2020年8月、近隣住民から反対の声が上がりました。その後、陳情書を提出するなど反対の動きは進み、12月には陳情書が採択され、代替地が検討されました。そして、2022年1月、町は代替地に町が所有する土地を新たな建設予定地として提示しました。

しかし、この候補地は杵築市との境にあり、隣接する杵築市民からも反対の声が上がりました。3月には杵築市議会が日出町に対して移転を求める陳情書を採択し、町に説明を求めるなど住民の不安解消を申し入れていました。一方、日出町は建設への理解を深める説明会を断られたと話し、意見が食い違います。

双方の協議が進まない中、5月に日出町が建設の事前協議の内容が条例に適合していると判断し、協会に文書で通知しました。杵築市にとっては、青天の霹靂ともいえる日出町の突然の判断。
これに対し候補地周辺の住民は怒りをあらわにしています。

小内原簡易水道組合 加藤義雄代表インタビュー
「開いた口がふさがらない。話にならん。」

渡邉博海下切区長インタビュー
「(杵築市を)完全に無視。知らないうちにこのようになってしまって日出町の誠意を疑っている。」

11日、杵築市山香町の住民4人が集まりました。全員が共通して心配しているのは農業用水として使用している水源地への影響です。予定地の近くには久木野尾川の水源があり、この水源の水を飲料水として使用する地区からは約2・3キロ離れています。

渡辺雄爾杵築市議インタビュー
「(建設予定地から)530~550メートルのところに水源がある。そういったことを無視してそこを許可するのは言語道断。日出町は(水源地までに)3キロあるんですよ。そこでは(墓地を)つくりきらんかった。」

上地区住民自治協議会 楠本幹男会長インタビュー
「(日出町の)高平の方でさえ風評を心配してるのに、生活水を引いているその上に土葬ができて風評の心配をしないわけがない。」

飲料用としても水を使っている加藤さんも建設地の変更を強く望んでいます。

小内原簡易水道組合 加藤義雄代表インタビュー
「今まで水質の異変とかはなかった。小さな集落だけどその恩恵を被って今まで生活をしてきた。それをこういう形で壊されたんじゃ住民は本当に納得いかない。」

今後、協会が町に申請書を出せば九州で初となるイスラム教式の墓地建設が許可される可能性が高いとみられます。日出町によりますと今回の事前協議の中で12月の建設完了を目指しているということです。

渡辺雄爾杵築市議インタビュー
「日出の住民も杵築の住民も同じ人間。平等に声を聞いてそれから決定せにゃ。」

杵築市は今後、住民からも意見を求めながら日出町と協議していきたいと話しています。

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