新型コロナウイルス感染時の重症化予防を目的としたワクチンの4回目接種。国が接種開始の目安とした5月下旬まで1週間となり、栃木県内市町は準備に追われている。従来と異なり対象者が60歳以上と持病がある人に限定されることに加え、3回目接種と平行して行われることもあり、混乱を懸念する声もある。
「3回目の予約が取れなくなったり、打ち間違えたりしないような接種体制を構築しないといけない」
若年層の3回目接種率が伸び悩む中での4回目接種の開始を控え、足利市の担当者は気を引き締める。
国は3月から自治体に準備を促していたものの、接種対象の方針が決まったのは大型連休直前の4月27日。鹿沼市の担当者は「厳しいタイムスケジュールだ」。宇都宮市の担当者も「持病のある人の把握、周知が難しい」と困惑気味だ。
4回目接種に必要な法令改正がまだ行われていないこともあり、矢板市の担当者は「明確な決定がない中なので、動きにくさはある」と漏らす。
専門家の中には、4回目接種の対象に医療従事者も加えるべきだとの声もあったが、最終的には対象外となった。高齢者施設の職員も対象に含まれず、一部の市町には国の方針を疑問視する声も出ている。「対象を拡大する場合は、早めに通知を出してほしい」。真岡市の担当者は、国に迅速な情報提供を要望する。
厚生労働省によると、4回目接種向けに6月から全国に配送が始まるワクチンは、ファイザー製が約1268万回分、モデルナ製が約4710万回分。3回目用の配送分を4回目に使うこともできるが、対象者の多くはモデルナ製を接種することになりそうだ。
日光市の担当者は「高齢者の多くはこれまでファイザー製を打ってきたので、交差接種への理解促進も必要になる」と話す。
県営接種会場でも4回目接種は行われる見通しで、県感染症対策課は「市町の接種を支援するとともに、県営会場での接種に備えたい」としている。