V・ファーレン長崎 DF米田隼也(26) チームをいい方向へ導く“努力型”

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DFからFWまで幅広くこなしてチームを突き動かしているV長崎の米田=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 J2で現在13位と波に乗れないV・ファーレン長崎で、大卒5年目の生え抜き選手がチームをいい方向に導こうともがいている。米田隼也は、攻守で決まり事を大事にする今のチームに「足りないプレー」を冷静に分析し、ピッチ上で表現。DFからMF、時にFWまで幅広いポジションをこなして試行錯誤を続けている。
 初先発した第6節金沢戦で敗れた後、まず口にしたのは危機感だった。
 「けがをしていて、スタンドから見ている中でチームがうまくいっていない状況を感じていた。練習でやっていることは出せているが、相手も僕たちを分析している」
 失点のリスクを抑えながら、両サイドで攻撃の起点をつくるのが現在のV長崎のスタイル。ただ、昨季はうまくいっていたこの戦い方は対戦相手に読まれ、攻撃に手詰まり感があった。ならばと凝り固まった「型」を率先して破り、サイドハーフで先発しても中央寄りの位置でプレー。すると、チームの歯車も徐々にかみ合いだした。
 中でも強いインパクトを与えたのが金沢戦から2週間後、4月9日にホームで行われた第9節町田戦だった。この日も左サイドハーフを任されていたが、前半41分にペナルティーエリア手前の中央でボールを受けると、相手DFのマークを背負いながら2人をかわしてシュート。これが決まって1-0の勝利をもたらしてみせた。チームがサイド攻撃を重視する中、個人技で中央をこじ開けた力強いゴールだった。
 名門、静岡学園高で10番を託され、順大でも主力を担ったが、プロの世界に入れば決してボールの扱いがうまいタイプではない。ただ、チームや自らの課題と真正面から向き合い、独自のアプローチで解決に導くことができる努力型のトップアスリートだ。
 昨年5月、松田浩監督の初陣では劇的な後半ロスタイム弾で勝利に導き、2019年12月の天皇杯準決勝ではJ1鹿島をあと一歩まで追い詰めるゴールを決めた。大事な試合で結果を残せる気持ちの強さは頼もしく、選手個々の質が高いV長崎でも毎年の契約更新を勝ち取ってきた。今季は初めて副主将を任され、結果に対する責任感は人一倍強い。
 前節仙台戦でショックの大きな敗戦を喫した後、自身の交流サイト(SNS)で「何ごとも人のせいにするのは簡単。自分にベクトルを向けます」と記した。結果を真摯(しんし)に受け止め、決して諦めない。苦しい状況でもチームと自らの可能性を信じて、目の前の試合に全力を尽くす。