2010年代後半から、全国的にフルーツサンドイッチ(フルーツサンド)の人気が高まりました。
フルーツサンドとは、クリームとカットした果物を挟んだサンドイッチのことです。
四季折々の旬の果物が楽しめるのもフルーツサンドの魅力。
加えて、断面の美しさなども注目されています。
実は、そんなフルーツサンドの人気店が福山市にあるのです。
それが「元町フルーツ」。
2020年に天満屋 福山店の地下でオープンし、2022年3月に市内北部・神辺町に移転しました。
元町フルーツは新鮮で高級な果物を使い、地元の老舗のパンを使うなど、こだわりがたくさん。
しかも西日本各地のショッピングセンターなどで出張販売もしている、人気の店なのです。
元町フルーツのこだわりや人気の秘密について探ってみました。
元町フルーツは神辺町にあるフルーツサンド店
元町フルーツは、フルーツサンドの専門店です。
福山市北部・神辺町にあるショッピングモール「フレスポ神辺モール」内、書店の「啓文社 コア神辺店」の1階にあります。
元町フルーツは2020年(令和2年)、福山市中心部・天満屋 福山店の中にオープンしました。
その後2022年(令和4年)3月に、現在地へ移転しています。
また元町フルーツは移動販売・出張販売もしており、人気です。
西日本のショッピングセンター・スーパーマーケットを中心に、精力的に出店中。
出店情報は、元町フルーツの公式Instagramで確認できますので、要チェックです。
元町フルーツは、見るだけ・写真を撮るだけでも大歓迎!
気になったら、遠慮なくショーケースのフルーツサンドを見てみてください。
元町フルーツのフルーツサンド
2022年(令和4年)4月時点の情報。価格は消費税込。果物の時価相場に合わせて価格が変動する可能性あり
元町フルーツのフルーツサンドは、断面がとても美しいのが特徴です。
ショーケースから見えるフルーツサンドは、カラフルでとても華やか。
果物のみずみずしさと鮮やかな色が印象的です。
「いちご」「みかん」「みかん花」「ミックスサンド」など、通年で販売される種類もあります。
いっぽうで時季ごとに旬の果物がフルーツサンドで楽しめるのも、元町フルーツの大きな魅力です。
取材時は4月中旬でしたが、「あまおう」や「ゴールドキウイ」「メロン」などが旬のフルーツサンドとして登場していました。
しかも元町フルーツで使っている果物は、福山の青果市場で毎朝入荷した最高の果物を使っています。
そのため果物がとてもみずみずしく、フレッシュな風味が味わえるのです。
当日入荷してフルーツサンドに使っている果物は、店頭に掲示されています。
産地まで説明されているので、安心。
またフルーツサンドに使っているパンは、神辺町の老舗パン屋「おきな堂」のものです。
なお各種フルーツサンドの価格は、果物の時価相場に合わせて変動することがあります。
ちなみに取材時の2022年4月には、新商品も登場しました。
新商品「スマイルパン」は、2つのフルーツサンドを買って組み合わせると、子供に人気の某漫画の主人公に似た顔ができるアイデア商品です。
「ミニサンド」は、フルーツサンドが食べやすいミニサイズにカットされ、数種類がパックされています。
さらに、元町フルーツの店頭には「パンの耳募金」が設置されています。
パンの耳募金とは、フルーツサンド製造上で不要となったパンの耳をお客が持ち帰る代わりに、募金をしてもらうというシステムです。
募金額は、任意で構いません。
募金額が一定額貯まると、社会福祉協議会に寄付されます。
元町フルーツでは過去に何度も、パンの耳募金を社会福祉協議会に寄付しました。
おすすめ・人気のフルーツサンドを紹介
2022年(令和4年)4月時点の情報。価格は消費税込。果物の時価相場に合わせて価格が変動する可能性あり
元町フルーツでは通年商品・時季限定商品を含め、非常にたくさんのフルーツサンドを販売しています。
そのなかからおすすめの商品、人気の商品を紹介しましょう。
「いちご」はハート型のイチゴがならんだ定番サンド
数あるフルーツサンドのなかでも、おすすめの代表的な商品が「いちご」(取材時 648円)です。
ハート型にカットされた愛くるしいイチゴが、縦に3個並んでいます。
かわいいもの好きなひとは、つい手に取ってしまいそうな、かわいらしいビジュアルです。
取材時に使っていたイチゴは、宮崎県産「さがほのか」という品種。
包装フィルムをはがした瞬間、ほんのりとさわやかで甘酸っぱいイチゴの匂いがしてきました。
断面からみずみずしさが伝わってきて、白い身と赤い表面のコントラストがとても美しいです。
神辺の老舗パン屋でつくられているというパンは、フワッと軽やかな食感で、シットリとしています。
ホイップクリームのなめらかな舌触り。
甘さは控えめで、主役のイチゴを引き立てます。
パンのフワフワ感とクリームのなめらかな舌触り、控えめのほのかな甘味に、イチゴの果汁感と甘酸っぱい風味がバランスよく楽しめました。
断面側だけでなく、奥側のクリーム内にもカットイチゴが入っており、食べごたえがあります。
「みかん花」はミカン・キウイ・イチゴで花を表現したかわいらしいサンド
「いちご」と並んで人気の商品が「みかん花」(取材時 843円)です。
名前のとおり、ミカンで花を表現したフルーツサンドです。
子供はとても喜びそうな、かわいい見た目だと思います。
大人でも手土産でもらったりしたら、喜ばれるのではないでしょうか。
包装フィルムをはずしたら、ミカンの甘いさわやかな香りがしてきました。
取材時に使われているミカンは、徳島県産「生比奈(いくひな)みかん」でした。
ミカンは、とてもみずみずしさが感じられる断面です。
ミカンを食べると、とても甘くみずみずしくておいしいミカンでした。
花の茎の部分はキウイフルーツ、葉の部分はイチゴで表現されています。
取材時のキウイはニュージーランド産、イチゴは宮崎県産「さがほのか」です。
ミカン半玉を挟んでいるので、みかん花のフルーツサンドは厚みがあります。
ホイップクリームもタップリと入っていました。
みかん花はショーケースに並んでいるなかでも、一番目に留まるかわいらしいフルーツサンドだと思います。
「フルーツもりだくサンド」は数種類のフルーツを盛り込んだお得でボリューミーなサンド
「フルーツもりだくサンド」(取材時 845円)は、名前のとおりたくさんの果物を使ったボリュームあるフルーツサンドです。
赤・緑・橙・白と、いろとりどりの鮮やかな見た目も印象に残ります。
使っている果物は、イチゴ・キウイフルーツ・オレンジです。
イチゴは「いちご」と同じくハート型にカットされたもので、取材時は宮崎産「さがほのか」。
キウイはニュージーランド産、オレンジはアメリカ産です。
キウイは2つ入っていました。
しかも、フルーツもりだくサンドは片側横面にもたくさんの果物が貼り付いているんです!
フルーツもりだくサンドも、たくさんの果物が入っているので厚みがあります。
それぞれの果物みずみずしさや甘酸っぱさが複雑に絡み合い、クリームの淡泊な甘さがそれをまとめ、食べごたえのあるフルーツサンドでした。
「あまおう」は春限定・福岡名産のイチゴを使用
元町フルーツでは通年商品以外に、時季ごとの旬の商品もあります。
取材時の4月中旬にはイチゴの人気品種「あまおう」(取材時 996円)がありました。
包装フィルムを開けると、とても甘い匂いがしてきます。
この甘い匂いだけで満足してしまいそうなほど、非常に甘い匂いでした。
あまおうは、赤身が濃いのが印象的です。
ほかのイチゴは中心部が白いですが、あまおうは内側まで赤みがかっています。
あまおうの実はとても柔らかく、非常にみずみずしくて果汁がタップリでした。
味は、甘味が強めで酸味は控えめです。
甘さ控えめのクリームと、相性抜群。
食べるのがもったいなく思うほど、色鮮やかで美しい元町フルーツのフルーツサンド。
そんな元町フルーツを運営する福山うみしま観光 株式会社の代表・丹下工(たんげ たくみ)さんにインタビューをしました。
元町フルーツの代表・丹下 工さんにインタビュー
食べるのがもったいなく思うほど、色鮮やかで美しい元町フルーツのフルーツサンド。
そんな元町フルーツを運営する福山うみしま観光 株式会社の代表・丹下工(たんげ たくみ)さんに開業の経緯や商品のこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
テレビでインスピレーションを感じ、フルーツサンド販売を決意
──開業の経緯を教えてほしい。
丹下(敬称略)──
いろいろ仕事をしていましたが、長く実家の1階に開いた居酒屋を運営していました。
その後、2012年より牡蠣料理店の「かき小屋」も始めました。
しかし2020年になり、新型コロナウイルス感染症が流行し始めます。
かき小屋はシーズンオフになりましたが、実家でやっていた居酒屋は大きな影響を受けました。
そこで居酒屋を休業にして、牡蠣の弁当を製造し、スーパーマーケットや道の駅・サービスエリアなどで販売をしていたんです。
そんなとき、知人を介して私のところに天満屋 福山店から「カレーライスの店を出してほしい」と出店要請があったんです。
正直カレー店は難しいだろうと思い、「カレーといっしょに別の商品の販売をさせてもらえるなら」という条件を出したうえで、その話はいったん保留にしました。
そして6月のある日、テレビ番組でフルーツサンドの特集を見たときに「これだ!」とインスピレーションを感じたんです。
「弁当はやめて、フルーツサンドを売るぞ!」と。
──なぜインスピレーションを感じた?
丹下──
フルーツサンドが売れるという具体的なイメージができたからです。
そしてスピードが大切ですから、翌日からフルーツサンド製造に向けて動き出しました。
最初によい果物を買うために、青果店へ連絡を取ったことは今でも覚えていますね。
そして天満屋のほうへ「カレーといっしょにフルーツサンド店を出店させてもらえるなら」ということで出店OKの返事をしました。
弁当の製造はやめ、それまで弁当を製造していた居酒屋をフルーツサンドをつくる製造場に変更。
スタッフたちは独学でつくりかたや見せかたを研究し、試行錯誤を重ねました。
私たちの先生は、インターネットです(笑)。
弁当を売っていたスーパーマーケットなどで、フルーツサンドの試作品の販売などもしました。
こうして2020年8月に、天満屋 福山店の地下に「神石カレー&元町フルーツ」を開業したんです。
「神石カレー」という店名は、神石牛を使っているから。
「元町フルーツ」は、天満屋の住所が「元町」だからですね。
──移転をしたのは?
丹下──
2022年3月に、神辺町のショッピングモールへ移転しました。
それまで神辺の居酒屋だったスペースでフルーツサンドを製造、天満屋の店舗まで商品を運んでいましたが、距離があって能率が悪いです。
製造場所と販売場所を同じにしたいと考えました。
そんなとき、知人から神辺のショッピングモールの物件の話を聞いたんです。
郊外で人の集まりやすいショッピングセンター内で、しかも駐車場はたくさんあります。
さらに、店内に製造するスペースも確保できる場所でした。
これはもう最高の物件だと思い、移転を決意したんです。
移転と同時に、主力となるフルーツサンドに特化しました。
まずは目立つことが重要!テーマカラーをタイガースカラーに
──黄色い外観や紙袋のアイデアは?
丹下──
黄色のテーマカラーを考えたのは、私です。
生まれたのは、出張販売を始めるとき。
最初は白ベースのオシャレな感じにして、Instagramの撮影スポットとかつくったりしていました。
しかし商品がおいしくて自信があっても、商品を買ってもらえなければ意味がありません。
買ってもらうためには、店に来てもらう必要があります。
そのためには、とにかく認識してもらうことが重要だと考えました。
つまり、目立つことですね。
とくに出張販売は期間限定ですから、とにかくドンドンと見てもらわないといけません。
いろいろ検証した結果、今の黄色時に黒文字という阪神タイガースカラーに行き着いたわけです。
また当店では「見るだけ、写真を撮るだけでもどうぞ」をセールストークにしています。
これもとにかく店に足を運んでもらい、商品を見てもらわないと商品を売れないという考えから生まれました。
──おもに西日本の広いエリアで出張販売をしているが、キッカケは?
丹下──
出張販売のキッカケは、当店のInstagramでした。
スタッフの発案で、手の空いた時間を使って店のInstagramの運営を始めたんです。
そのInstagramで投稿されている当店のフルーツサンドを、イオングループのかたが見て興味をもち、要請がありました。
スタッフがInstagramのアイデアを出したとき、条件として「最低毎日1度は投稿する」という約束をしたのですが、これが功を奏したと思いますね。
現在の出張販売先は、西日本が多いです。
遠方では、奈良県や沖縄県にも行っています。
さらにイオン以外の店からも、出張販売の依頼が来るようになりました。
──客層はおもにどんな人が多い?
丹下──
単価は高めなので、学生は少ないです。
男性より女性が多いですね。
もともと当店のターゲットは、私が花をプレゼントしたいような人を考えていました。
花の代わりに、フルーツサンドを渡すような感じですね。
実際のメインの客層は、だいたい想定ターゲットと同じ客層になりましたね。
メインの食材はケチってはダメ!高級で新鮮な果物にこだわる
──元町フルーツのフルーツサンドのポイントやこだわりは?
丹下──
当店のフルーツサンドのポイントは「高級なフルーツ」「地元の老舗店のパン」「主張しないホイップクリーム」の3点です。
かき小屋での経験から「メインとなる食材は絶対にケチってはいけない」「メイン食材はいいものを使うこと」と学びました。
ですからフルーツサンドの主役である果物は、信頼できる取引業者が毎朝市内の青果市場で仕入れた高級なものを使っています。
またカットの断面は、キレイになるようにいろいろと考えています。
フルーツサンドは断面のインパクトや、キレイさが大事。
「見るだけ、写真を撮るだけでもどうぞ」を売り文句にしている以上、見てみたいような、写真を撮りたいような断面になるようにこだわっています。
あと、改良も加えていっていますね。
たとえば当初は断面部分だけに果物を入れていたのですが、お客様からの「奥のクリームの中にも果物を入れてほしい」「もっと果物を食べたい」という要望があったんです。
そんなお客様の声にこたえ、原価を上げて、フルーツサンドの中の方にも果物を入れました。
元町フルーツのフルーツサンドの主役は果物!
──パンやホイップクリームについては。
丹下──
パンは、大手パンメーカーの高級なものを使っていました。
その後、地元・神辺の老舗「おきな堂」というパン屋が、楽天市場にパンを出店しているのを知ったんです。
そこでおきな堂を訪ねてみたんですが、なんと代表のかたは、かつて私の居酒屋の常連客だった人でした。
お客さんのバックグラウンドの詳細は知らなかったので、不思議な縁を感じましたね。
それで、おきな堂のパンを使うことになりました。
あとホイップクリームは、甘さが控えめな点がポイントです。
フルーツサンドの主役は果物。
だから果物にこだわり、高級で新鮮な果物を使っています。
そのため主役の果物を邪魔しないよう、主張しないクリームを使うのが当店のフルーツサンドの特徴です。
──通年商品以外に季節商品があるが、それぞれの時季の旬の果物の例を知りたい。
丹下──
春はイチゴですね。
イチゴは温室栽培のイチゴを使って、通年商品としても出しています。
春になると露地ものが登場するのが特徴です。
「あまおう」など露地ものしかない品種も出てきます。
ほかにゴールドキウイも春のおすすめです。
春から夏にかけて、マンゴーも出てきます。
夏から初秋は、ブドウです。
ピオーネやマスカットなど、品種もいろいろ使います。
秋になると柿やナシ、イチジクなど。
冬はリンゴのほか、ミカンなどの柑橘(かんきつ)ですね。
ミカンはハウス栽培を使って通年で使っていますが、冬になると路地ものに変わります。
課題として感じているのは、モモ。
モモはコンポートのものを使っているんですが、生のモモは変色したりして難しいんです。
生のモモをどうにか使ってみたいと、いろいろ考えています。
トップになれば流行関係なく売れる
──今後の展望ややってみたいことを教えてほしい。
丹下──
フルーツサンドは流行商品と考えていて、流行が終息したあとのために果物を使った新商品を考えようと思っていました。
店名を「元町フルーツ」として「元町フルーツサンド」としていないのはそのため。
でも、考えが変わりつつあります。
流行商品であっても、トップになれば流行が終わっても定着し、流行関係なく売れるんです。
元町フルーツは、西日本でトップクラスの売上があるフルーツサンド店という自負があります。
当店のフルーツサンドは、月で20,000個を売り上げているんですよ!
ですから、これからも西日本トップを維持し、さらに上を目指していきたいですね。
ほかの課題は、雇用の面です。
もともと、かき小屋のスタッフは冬季限定の期間雇用でした。
元町フルーツができて、スタッフの通年雇用ができるようになったのは貢献できたかなと思います。
ただ冬になると、かき小屋が忙しくなりますので元町フルーツのスタッフが手薄になるのが悩みどころ。
元町フルーツのスタッフを増員できるよう、新商品を開発するなどして元町フルーツを盛り上げていきたいなと思います。
彩り豊かな元町フルーツのフルーツサンド
食べるのがもったいなく思うほど、カラフルでキレイな元町フルーツのフルーツサンド。
旬の果物を楽しめるのも魅力です。
お客さんへの手土産や子供へのごほうびなどに、元町フルーツのフルーツサンドはいかがでしょうか。
出張販売もしているので、元町フルーツの公式Instagramを要チェック!
あなたの住んでいる町の近くで、元町フルーツがフルーツサンドを売りに来ているかもしれませんよ!