【ネタバレ】『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』カメオ出演&小ネタを徹底解説

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映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(公開中)は、これまでのマーベル映画とは一味違うユニークな作品でありつつ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でお約束のカメオ出演&小ネタが山盛りだ。ここでは、作品をより楽しむためのトリビアや小ネタを解説する。(平沢薫)

※本記事はネタバレを含みます。映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。

ラストに登場する女性は?1つ目のポストクレジットシーン

ラストに登場したクレア(左) - 画像はシャーリーズ・セロン公式Instagramのスクリーンショット

1つ目のポストクレジットシーンで、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)の前に現れた謎の女性。スタッフロールでクレアと表記されている同キャラクターを演じているのは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』などで知られる人気女優シャーリーズ・セロンだ。『モンスター』(2003)でアカデミー賞主演女優賞を獲得、その後も2度同部門にノミネートされている実力派が、ついにMCU入りを果たした。

原作コミックにおけるクレアは、前作『ドクター・ストレンジ』の悪役で知られるドルマムゥの姪。優れた魔力と暗黒次元の力を持ち、後にストレンジと恋に落ち、結婚している。暗黒次元に向かった二人が、今後MCUで一緒に活躍する可能性もありそうだ。コミックでの初登場は1964年の「Strange Tales #126」で、今年3月から彼女が主人公のコミックシリーズ「Strange」も刊行されている。

あのキャラがMCUに!謎の組織イルミナティとは

本作でストレンジが遭遇した謎の組織イルミナティとは、マーベルヒーローによって結成された秘密結社。原作コミックでは、2005年の「New Avengers #7」で初登場した。コミックでの主なメンバーは、ドクター・ストレンジ、アイアンマン、プロフェッサーX、ミスター・ファンタスティック、ブラックボルト、ネイモア。映画版のイルミナティはメンバー構成が少し異なり、以下の6名が登場する。

チャールズ・エグゼビア

『X2』でのパトリック・スチュワート - 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージス

旧・20世紀FOXが製作した『X-MEN』シリーズでパトリック・スチュワートが演じていたプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアが、満を持してMCUに登場。FOX版のチャールズとは異なり、彼が乗るホバーチェアや服装は1990年代のアニメシリーズをモチーフにしたもの。登場シーンでは、アニメ版のテーマソングが使用されている。

ブラッカガー・ボルタゴン/ブラックボルト

ドラマ「インヒューマンズ」でのアンソン・マウント - ABC / Photofest / ゲッティ イメージス

クリー人による遺伝子実験で生まれた超人類インヒューマンズの王。米ABCが2017年に放送したテレビドラマ「マーベル インヒューマンズ」でブラックボルト役を務めたアンソン・マウントが再演している。Netflixドラマ「Marvel デアデビル」のデアデビルに続き、マーベルドラマのキャラクターがそのまま映画に登場した。

キャプテン・カーター

ドラマ「エージェント・カーター」でのヘイリー・アトウェル - Kelsey McNeal / ABC via Getty Images / ゲッティ イメージス

キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの恋人ペギー・カーターが、超人兵士となったことで誕生したヒーロー。ペギーがキャプテン・カーターになるエピソードはマーベル・スタジオ初のアニメシリーズ「ホワット・イフ…?」シーズン1にもあり、MCUでペギー役を務めるヘイリー・アトウェルが演じている。ワンダとの戦闘では、キャプテン・アメリカの名言「まだやれる(I can do this all day)」も飛び出す。

キャプテン・マーベル

『キャプテン・マーベル』でのラシャーナ・リンチ - Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

イルミナティに所属するキャプテン・マーベルの正体は、主人公キャロル・ダンバースの親友マリア・ランボー。映画『キャプテン・マーベル』でマリアを演じたラシャーナ・リンチが再登場した。ちなみに、マリアの娘モニカ・ランボーはコミックでの2代目キャプテン・マーベルで、ドラマ「ワンダヴィジョン」では成長したモニカが諜報機関S.W.O.R.Dのエージェントとして登場し、スカーレット・ウィッチと接触している。

リード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック

エミリー・ブラントの夫でもあるジョン・クラシンスキー - Photo by Mike Coppola / Getty Images

旧・20世紀FOX製作で映画化もされた4人組ヒーローチーム、ファンタスティック・フォーのリーダー。2005年版とその続編ではヨアン・グリフィズ、2015年のリブート版ではマイルズ・テラーが演じており、本作では『クワイエット・プレイス』シリーズの監督としても知られるジョン・クラシンスキーがリチャーズに扮している。

モルド

別次元のモルドはイルミナティ所属だった!

『ドクター・ストレンジ』第1作ではストレンジの兄弟子だったが、別の道を行くことになったキャラクター。イルミナティが存在する世界では、モルドがソーサラー・スプリームを名乗っている。

あのアイテム&人物がMCUとリンク!

過去のMCU作品でも観たことがあるアイテムも続々。『ドクター・ストレンジ』第1作でストレンジがクリスティーンからもらった時計以外にも、以下のアイテムが登場した。

ダークホールド

今回の事件の発端とも言える闇の魔術書ダークホールドは、ドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」に登場。魔女アガサ・ハークネスが所有していたが、ラストシーンではスカーレット・ウィッチとして覚醒したワンダが読んでいた。ダークホールドという名前は、ドラマ「エージェント・オブ・シールド」「マーベル ランナウェイズ」にも登場している。

ボムガリアスの火桶

クリスティーンが敵と戦う際に使ったこのアイテムは、『ドクター・ストレンジ』1作目に登場。ニューヨークのサンクタムでストレンジが手に取り、それを見た敵カエシリウスがひるむものの、ストレンジは使い方を知らなかった。カエシリウスに「使えないのか?(直訳:使い方を知らないのか?)」と言われ、ただ投げつけていた。

ワンダの双子の子供

「ワンダヴィジョン」に登場したワンダの双子の子供ビリー&トミー。原作コミックでは、ビリーはワンダのサイキック能力を引き継ぎウィッカンというヒーローを名乗り、トミーはワンダの弟クイックシルバーの高速移動能力を継承して、スピードというヒーローになる。

そのほか映画で気になった用語集

本作では他にも、マーベル・コミックに登場しているキャラクター、アイテム、キーワードが複数登場。いずれも、おさえておけば映画をより楽しめるはずだ。

ガルガントス

冒頭に登場した、巨大な触手と一つ目が印象的な巨大クリーチャーの名称。原作コミックでの初登場は1969年「Sub-Mariner #13」で、水棲人類のヒーロー・ネイモアが戦う海の怪物として描かれた。

リントラ

修行場カーマ・タージにいる、ミノタウロスのような姿の修行僧。ストレンジの弟子になったこともある。初出は1986年の「Doctor Strange #80」。

アース616、アース838

異世界の科学者クリスティーンは、ストレンジのいた世界を"アース616"、彼女のいる世界を"アース838"と分類する。マルチバースの各世界を"アース+番号"で表記するのはマーベル・コミックの手法で、これまでMCUはアース19999とされていたが、本作では原作コミックと同じアース616と呼ばれている。

バクスター研究所

アース838のクリスティーンが働いている組織の名前。これはイルミナティのメンバーでもあるリード・リチャーズ率いるファンタスティック・フォーの本拠地、バクスター・ビルディングと関係があるのに違いない。コミックでは1961年の「Fantastic Four #3」で初登場した。

ニサンティの砂

モルドがドクター・ストレンジとアメリカ・チャベスを眠らせる際に使用したアイテム。コミックでは少々効果が異なり、魔力を一時的に無効にする能力を持つ。

ヴィシャンティの書

ダークホールドの対極にある強力な魔術書。コミックでは、アトランティス滅亡前にアガモットにより書かれたもので、ストレンジの師匠エンシェント・ワンが手に入れ、ストレンジが受け継ぐ。

ワンダゴア

ダークホールドの原典を求め、ワンダが訪れた山の名称。この山は1960年代からコミックに登場している歴史ある場所で、ここにダークホールドが書かれたという設定も2009年のコミック「Mighty Avengers Vol1 22」で登場している。ワンダと弟ピエトロはこの麓(ふもと)で生まれた。

ドクター・ストレンジの妹ドナ

アース616のドクター・ストレンジが、シニスター・ストレンジに自分がストレンジであることを証明するため、妹ドナの話を持ち出す。ドナはコミックにも登場しており、溺死するのは同じだが、子供時代ではなく17歳で亡くなっている。

サム・ライミ監督ならではの小ネタも満載!

ブルース・キャンベル&サム・ライミ監督 - Photo by Nicholas Hunt / Getty Images for STARZ

本作のメガホンを取った、サム・ライミ監督ならではの小ネタも見逃せない。まず、彼の盟友ブルース・キャンベルが、アース838でピザボールを売る男(通称:ピザ・パパ)を演じている。キャンベルとライミ監督は子供時代からの親友で、初監督作『死霊のはらわた』と続編『死霊のはらわたII』などで主演、『スパイダーマン』三部作にもカメオ出演しており、本作への出演も噂になっていた。

さらに、ライミ監督の代表作『死霊のはらわた』に関する小ネタも。予告編にも登場したワンダが暮らす小屋は、『死霊のはらわた』シリーズの小屋に似ていると話題になっており、キャンベル演じるピザ・パパがストレンジの魔術によって自分の手で自分を殴る演出は、『死霊のはらわたII』で主人公アッシュが怨霊のせいで自分を殴るシーンと同じ。死体が別の存在に憑依されて動くのも『死霊のはらわたII』を彷彿とさせる演出で、シリーズでも映画同様、「死者の書」という名称は違うが、究極の魔術書がキーアイテムになる。イルミナティのメンバーの少々残虐な死に方からも、ライミ監督のホラーテイストが垣間見える。

またライミ監督作には、オールズモービルというメーカーの自動車、1973年製デルタ88の登場がお約束。『死霊のはらわた』では主人公たちが乗る車、『スパイダーマン』ではベンおじさんが乗る車だったが、本作ではストレンジとクリスティーンが見る、崩壊しつつある世界で宙に浮かんでいる。

キャンベル演じるピザ・パパは、2つ目のポストクレジットシーンで再登場。ストレンジの魔術から解放されると、カメラ目前で「終わった!」と放つ。このシーンは、旧・20世紀FOX製作の映画『デッドプール』のおまけシーン(デッドプールが観客に「まだいるの? 終わったよ」と呼びかける)、その元ネタとなった『フェリスはある朝突然に』のパロディーだろう。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、最後のおまけシーンまで小ネタが詰まっている。

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