メクル第625号 なぜ長崎に? オオハクチョウのスワちゃん

のんびりと池を泳ぐスワちゃん=長崎市上西山町、長崎公園「動物ひろば」

 真っ白な体に、すーっと伸(の)びた長い首。細い足でさっそうと歩き、バサバサと羽を広げる姿(すがた)はまるでバレリーナのよう。
 長崎市の諏訪(すわ)神社そばの長崎公園「動物ひろば」に、オオハクチョウの「スワちゃん」が4月から仲間入りした。名付け親は同公園所長の下川美里(しもかわみさと)さん。「お諏訪さん(諏訪神社)のとなりにいるスワン(ハクチョウの英語名)なので」。運命的な出合いを感じたそう。
 オオハクチョウは、ロシアのシベリア地方など、とても寒い所で生活する水鳥。冬には池や湖が凍(こお)り、水の中のえさが食べられなくなる。だから、暖(あたた)かい南の方に飛来し、冬が終わるころに再(ふたた)び帰るんだ。
 日本では冬の間、北海道や東北などで過(す)ごすことが多いけど、スワちゃんはなぜ長崎にいるの?
 下川さんによると、今年1月ごろ、飛べなくなっているところを諫早(いさはや)市で保(ほ)護(ご)された。佐世保(させぼ)市の九十九島動植物園「森きらら」で治療(ちりょう)を受け、長崎公園にやって来たんだ。でも、治療する時につばさの根元部分を切っていて、もう空を飛ぶことはできない。
 公園では、先輩(せんぱい)であるマガモやオシドリたちと仲良く同居(どうきょ)している。池をすいすい泳いだり、ていねいに羽づくろいをしたりして、ゆったりと過ごしていた。
 でも、もうすぐ夏がやってくるよ。スワちゃん、大丈夫(だいじょうぶ)なのかな? 「暑さ対策(たいさく)は実は悩(なや)みの種。屋根に扇風機(せんぷうき)を付けたり、池に氷を入れたりしようと思っています」と下川さん。
 飛べないハンディや暑さを乗り越(こ)えて、これからも元気に過ごしてほしいなあ。


© 株式会社長崎新聞社