【WEB版】「頭文字D」の坂、記者が挑戦 那須塩原でEバイクツアー

Eバイクで坂を上る君島さん(手前)ら。素晴らしい眺望を楽しめる=4月28日午後、那須塩原市

 日光国立公園の那須・塩原地域で、電動アシスト付スポーツ自転車のEバイクに乗って巡るツアー「那須&塩原 Eバイクトリップ」が始まった。スポーツバイクの走行性とアシスト機能を備えたEバイク。その魅力を確かめるため、「ママチャリ」にしか乗ったことのない記者が期待と不安を胸に“ヒルクライム”に挑戦した。

 晴天の4月28日。発着点の県営無料駐車場(那須塩原市塩原)に着くと、ツアーを運営する「青空プロジェクトTHE DAY」代表の君島陽一(きみしまよういち)さん(40)らが笑顔で迎えてくれた。

 ツアーは那須高原、塩原温泉、那須ガーデンアウトレットの3エリアで地元観光協会などが主催する。計九つのツアーのうち、今回は塩原温泉エリアの「天空の絶景ヒルクライム」(約25キロ)を体験した。

 2タイプあるEバイクのうち、まずは「E-マウンテンバイク」に乗ることに。君島さんからギアの変え方やライトの付け方などを教わり、いざ試乗。が、サドルの位置が高くて、足が上がらない。日頃の運動不足を実感しつつも、慣れてきたところでツアーに出発した。

 通常はナビや地図を使ってコースを巡る「セルフガイドツアー」方式だが、今回は君島さんの案内で進む。「ブレーキが良く効くので止まる時は慎重に」。注意事項を頭に入れ、箒(ほうき)川沿いを走ると爽やかな初夏の風を感じた。

 平らな道をすいすい走るのもつかの間。「塩那道路」の上り坂が立ちはだかる。そのつづら折りは、走り屋が題材の漫画「頭文字D」の舞台にもなったという。アシストの力を信じて一心にペダルをこぐが、思ったよりキツい…。君島さんからは「強く踏み込まず、つま先を置く感覚で」と助言を受けた。その方がアシスト機能が働くそうだ。

 ペースをつかむと、新緑や高原山の山並みを眺める余裕が出てきた。途中で野生のサルに遭遇したが、車通りはほとんどない。「自分たちのペースで、のんびり走れるのがこのコースの魅力」と君島さんは話す。勾配が急になり、息が上がってきた頃「ここが眺望ポイントです」と声が掛かった。

 見渡すと、塩原温泉街が眼下に広がった。自力では決して上れない山道を越えてきたからこその絶景に、疲れを忘れて見入った。

 「飲食店とのコラボやガイド付きツアーの開発にも取り組みたい」と君島さん。四季折々の景色を味わい、心地よい汗をかいた後、温泉でさっぱりするのも良さそうだ。

 ツアーの詳細は専用ホームページ専用ホームページ(https://ebike-nasu.com/)で確認できる。

新緑の中を走るツアー一行=4月28日午後、那須塩原市
眺望ポイントで景色眺めるツアー一行=4月28日午後、那須塩原市

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