現在のSUVブームの火付け役? パジェロにRAV4、エスクード……シティユースなSUVモデル3選

最近ではトヨタ車だけで見てもヤリスクロス、カローラクロス、ランドクルーザーなど幅広いラインアップが用意されるSUVカテゴリー。それだけでもSUVの人気ぶりがうかがえるが、今回はそんなSUVブームが起こる前、昭和から平成初期にかけて登場したSUVモデルを3台ピックアップ。合わせて現在の中古車価格もご紹介しよう。

三菱 2代目パジェロ (XP)

テレビ番組効果で一躍有名に! 三菱 2代目パジェロ

三菱 パジェロは1982年に登場し、4代に渡って本格4WDの走破性が持ち味のSUVだ。RVブームと呼ばれた1990年代に販売台数を大きく伸ばしたことから、1991年登場の2代目が多くの人の印象に強く残っているのではないだろうか。

三菱 2代目パジェロ

そんな三菱 2代目パジェロは、ラダーフレームや先進の4WDシステムといった本格的な“クロカン”要素を初代から継承しつつ、より街中での使用にも馴染むよう洗練されたデザインへと進化したモデルだ。当時は、パジェロに乗ってスキーに出かけるのが一種のステータスにもなっていたほどだった。

2代目でパジェロはクルマとしての性能を引き上げた。各部に乗用車的な要素を取り入れつつ、クロカンらしいシンプルさを残したことで、ホンモノ志向が強くなっていた市場のニーズにハマり、大きなセールスを記録。

RVブームの中心的な存在であった2代目パジェロは、トヨタ カローラやトヨタ マークII、トヨタ クラウンなどセダンが販売上位を占める時代に、月間販売台数1位を記録するほどの人気を博した。また、人気テレビ番組の景品になったことでも、その名はより広く知られたことだろう。

そんな2代目パジェロの中古車は現在29台存在している。価格は65万円~599万8000円とかなり価格差があり、最も高い個体となると最終型となる4代目に用意されたファイナルエディションに近いプレミア価格だ(MOTA調べ・以下同)。

市場価値が高まっており、高値で取引される個体もある

「RAV4という名のスポーツ」でお馴染み! トヨタ 初代RAV4

トヨタ 初代RAV4は1994年に登場したコンパクトSUVだ。こちらも1990年代のRVブームの流行に乗って販売台数を伸ばしたが、CMキャラクターに男性アイドルが起用されたことで女性からの人気も高かったモデルだった。

トヨタ 初代RAV4

街中での使用がメインであるものの、車高を高めると同時に本格的なフルタイム4WDを採用するなど、オフロードでも扱えるのも初代RAV4の魅力と言える。

販売店の違いでRAV4 J(トヨタオート店扱い)とRAV4 L(カローラ店扱い)があり、グリルのデザインが少し異なるだけでクルマの内容は共通だった。ちなみにRAV4 JとRAV4 Lの名前の由来は、JがJoyfull、LはLibertyの頭文字を取ったもの。

トヨタ 初代RAV4 L, トヨタ 初代RAV4 J
トヨタ 初代RAV4 L, トヨタ 初代RAV4 J

デビュー当初は2リッターエンジンに4速ATもしくは5速MTの組み合わせで、全車4WDというシンプルな構成。デビュー翌年の95年5月にはホイールベースと全長を延長し、5ドアとして5人乗り(3ドアは4人乗り)になった「V(ファイブ)」を追加。さらに96年8月にはスポーティグレードも設定された。

初代RAV4の中古車を調べてみると、9台確認することができた。価格は38万円~189万4000円と、比較的安価な印象だ。

コンパクトクロスオーバーSUVの元祖! スズキ 初代エスクード

1988年に登場したコンパクトサイズのクロスカントリー車として登場したスズキ 初代エスクード。コンパクトクロスオーバーSUVの元祖とも言えるこのモデルは、本格的なSUVのメカニズムを持ちながら、一般道・高速道路での乗り心地を両立した革新的な一台だった。

スズキ 初代エスクード

本格的なSUVに使われるラダーフレームと呼ばれる頑丈なはしご型フレームを採用。二輪駆動と四輪駆動を切り替えることができるパートタイム4WDを採用することで、舗装路での燃費の良さと悪路走破性を両立していた。

開発コンセプトの「クロスカントリーセダン」を見事に具現化した初代エスクードは、泥臭くない都会的なコンパクトクロスオーバーSUVとして世界中で人気を博した。

コンバーチブルモデルも用意されていた

現在のSUVのように街中での走行をメインとするユーザーが多く、扁平率の低い大径タイヤを装着し、ローダウンするカスタムも流行るなど異色のクロカン車でもあった。

そんな初代エスクードだが、現在の中古車市場を見てみるとタマ数は非常に少ない。確認できたのは4台で、66万円から298万円で取引されているようだ。

【筆者:篠田 英里夏(MOTA編集部)】

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