4月に成人年齢が18歳に引き下げられたのを機に、福井新聞が「大人」をテーマにアンケートを実施した結果、「大人になりたい」「大人になってよかった」と答えた割合は、全体の6割以上を占めた。17歳以下の年代は、18歳以上に比べ「大人になること」に肯定的な割合が高い一方で、消極的な意見も一定数あった。
17歳以下を対象にした「大人になりたいですか」との問いに「はい」は64.2％、「いいえ」は14.0％、「どちらともいえない」は21.9％だった。
⇒【記事一覧】ふくいをヒラク「オトナを考える」
18歳以上への「大人になってよかったですか」との設問では「はい」が60.3％に上り、「いいえ」は8.8％にとどまった。アンケートは4月中旬から5月上旬に実施。県内の一部の小中高校の協力を得たほか、紙面や「ふくい特報班（通称・ふく特）」のLINE（ライン）などで募集。17歳以下795人、18歳以上204人の計999人から回答を得た。
「大人」をテーマに、999人から回答が寄せられた福井新聞のアンケートで、「大人になりたい・なってよかった」と肯定的に回答した人の多くは「やりたいことができる」「家庭を持てる」といった理由を挙げた。「大人を実感するとき」を尋ねると、17歳以下は「成人式に出席」「社会人になる」「自動車免許を取得」が上位に。18歳以上では「社会人になる」が断トツで多く、次いで「子どもができ親になる」が挙がった。
17歳以下で「大人になりたい」と答えた理由は「早く働いて自分のお金でいろんなことをしたい」（越前町・男子）、「親に頼らず行動したい」（美浜町・女子）など社会的、経済的な自立に関する意見が目立った。「運転や飲酒ができる」（永平寺町・女子）、「自分の子の顔が見てみたい」（勝山市・女子）との期待もあった。
「いいえ」と答えた若者では「責任を取れる自信がない」（大野市・男子）、「子どもの方が楽」（勝山市・男子）との意見が挙がった。
一方、18歳以上で「大人になってよかった」と答えた理由は「責任は生じるが、やりたいことを選べる」（福井市・50代男性）、「仕事をしてお金を得て、自分で考えて使える」（鯖江市・50代女性）といった意見が代表的。「家庭を持ち子どもができて、改めて親のありがたみを実感」（福井市・50代女性）と、親になることの喜びを挙げた人も多かった。
「いいえ」と答えた理由では「他人に甘えられない」（福井市・60代男性）の意見があり、「どちらとも言えない」と答えた人の中には「思い描いていた大人になれず今ももがいている」（福井市・20代女性）、「学生時代とは違い苦労が増えた」（越前市・20代女性）など、理想と現実のはざまで苦悩する姿も垣間見られた。
⇒【記事一覧】ふくいをヒラク「オトナを考える」
「周りで大人だと思う人は」の質問では「母親」がトップ、次いで「父親」が続き、多くの人が親の影響を強く受けていた。
ジコチュー（自己中心的）なオトナは嫌だ―。アンケートでなりたくない大人のイメージを尋ねると、未成年の若者から手厳しい声が集まった。
17歳以下で「自己中」「人に迷惑をかける」の回答が目立ち、「酒におぼれる人」（越前市・男子）、「浮気する人」（福井市・女子）との意見もあった。「責任転嫁する人」（坂井市・女子）、「店員さんにため口する人」（鯖江市・女子）、「口だけで自分は何もしない人」（勝山市・男子）と鋭い指摘が相次いだ。
18歳以上でも「自分勝手」「マナーを守らない」といった意見が続出。「人の足を引っ張る人間」（県外・50代女性）、「上には優しく、下には厳しい人」（鯖江市・50代男性）、「自分が偉いと勘違いしている人」（福井市・60代女性）など、人間関係の不満を吐露するような回答も寄せられた。
逆に、理想の大人像については、17歳以下は「周りを幸せにできる人」（越前市・女子）、「人に感謝できる人」（大野市・男子）、「隠れた努力や魅力に気づける人」（勝山市・女子）など。「子どもに『この親でよかった』と思ってもらえる大人」（美浜町・女子）と“親ガチャ”を警戒するような意見もあった。
18歳以上からは「部下からも慕われる人」（越前市・20代女性）、「誰に対しても同じ態度」（福井市・40代女性）、「年を重ねても素直に意見を聞ける柔軟な心を持ち続ける」（福井市・50代男性）など自らに言い聞かせるような声が寄せられた。
成人年齢の引き下げに関しては「早めに大人の自覚と責任が芽生える」（美浜町・50代男性）、「今の子はぜいたくで甘やかされている。18歳成人は早い」（敦賀市・60代女性）など、賛否さまざま。若者からは「世の中を全然知らないのに」（大野市・18～19歳女性）、「大人になるのが少し怖い」（越前町・17歳以下男子）、「酒と喫煙は20歳から。ややこしい」（勝山市・17歳以下女子）などと戸惑いもにじんだ。
