天狗の住む駅?【木造駅舎カタログ】桜井線03/154 櫟本駅

※2020年8月撮影

トップ画像は、桜井線櫟本(いちのもと)駅。瓦屋根が整然と美しい木造駅舎が続きます。

字を知らない筆者には難読駅名です。「櫟」は「イチイ」という樹木を表す字。同じ字で「クヌギ」も意味します。イチイの木は別名「アララギ」。

筆者などは正岡子規門下の短歌結社誌『アララギ』やアララギ派の歌人を想起してしまいます。

いずれにしても駅名は、駅のある櫟本町と同じ伝説に由来しています。天狗の住む巨大なイチイの木の根元があったという伝説が駅名・町名の元になっているのだそうです。晴朗な青空の下で天狗の伝説を想像するのは、楽しいですね。

駅名標を字が分かる大きさまでちょっと無理にトリミングしてみました。あまり眼にしたことのない漢字です。

※2020年8月撮影

駅前には広場というか面する道路まで空間があります。

※2020年8月撮影

櫟本駅は、1898年(明治31年)奈良鉄道の駅として開業。帯解駅と同様に、関西鉄道に合併され、1907年(明治40年)国有化され帝国鉄道庁の駅になります。1909年(明治42年)線路名称制定で桜井線の所属駅になりました。国鉄分割民営化でJR西日本に継承されます。

建物財産標がありました。明治31年4月。帯解駅と同様に駅開業の前月です。しかし、1898年ですぞ。築120年以上。溜め息がでます。火災などにあわないように大事にしたい駅舎です。

※2020年8月撮影

駅舎北側。右手前は電気設備のボックスです。ホーム側にはトイレがあります。利用は構内からになっています。

※2020年8月撮影

南側から。外壁がオリジナルっぽいです。良い木造駅舎ですねぇ。

※2020年8月撮影

一応アップも撮ってあります。

※2020年8月撮影

駅出入口。8時を過ぎてそろそろ休日の活動時間が始まった様です。

※2020年8月撮影

駅正面。横断看板に「櫟屋」と書いて「くぬぎや」さんというお酒と器のギャラリーが出ていました。なかなか洒落の効いた愉快なネーミングですね。行ってみたくなりましたが、日曜日の朝8時台から開店しているとはちょっと考えられません。

※2020年8月撮影

桜井線の木造駅舎、予想外に素晴らしいと感動しました。次の駅も良いです。木造駅舎行脚、止められませんね。(笑)

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)

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