Vol.140 LA SIGGRAPH月例会「Careers in Digital Media 2022」[鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線]

ロサンゼルスには、ACM SIGGRAPHの地方分科会である「LA SIGGRAPH」が存在する。日本にもお馴染み「シーグラフ東京」があるが、そのLA版と言えばご理解頂けるだろう。LA SIGGRAPHでは毎月テーマを設定し、月例会を開催している。

この月例会には参加費20ドルを支払えば誰でも参加できる。会員になって年会費40ドルを納めれば、毎月の月例会の参加費は無料となる。コロナ禍になってからのLA SIGGRAPH月例会はZoomを介してバーチャルで開催されている。

LA SIGGRAPH公式サイト

LA SIGGRAPH月例会では、定期的にキャリア・セミナーを実施している。これは、将来デジタル・メディアの業界を目指す学生およびLA SIGGRAPHの会員を対象に、VFX/ゲーム/アニメーション分野における就活の傾向&対策を紹介する内容となっている。そのため、学生メンバーの聴講も多い。

人材採用の最前線で活躍するリクルーター達の生の声を聞くのは、なかなか興味深いものがある。なぜならば、その情報は就活TIPに留まらず、業界の動向やテクノロジーの変化、それに伴い「求められる人材」の推移、そして各社の動向など、さまざまな情報が網羅されている。普段ハリウッド映画のVFX現場で仕事をしている筆者にとっても、参考となる点は多い。

ちなみに、今回ご紹介させて頂くのは3月のLA SIGGRAPH月例会のレポートである。先月の

本欄4月号

ではVESアワード授賞式の話題を優先してレポートさせて頂いた関係で、1カ月遅れではあるが「Careers in Digital Media 2022」の模様をお届けしたいと思う。

LA SIGGRAPHの告示より ©LA SIGGRAPH

司会&進行は、美大OTIS College of Art and Designのキャスリーン・ミルネス女史が務め、パネラーとして登壇したリクルーターによるパネルディスカッションが行われた。パネラーの顔ぶれは、下記のとおり。

キャスリーン・ルファロー(Kathleen Ruffalo)

Recruitment Manager

Framestore

Framestoreのアメリカ国内にある各スタジオの人材募集を総括する、リクルートメント・マネージャー

デブ・ストーン(Deb Stone)

Director of Talent Recruitment

ILLUMINATION

「ミニオン」シリーズでお馴染みのアニメーション・スタジオILLUMINATIONにて、リクルーティング・ディレクターを務める

ジム・リバース(Jim Rivers)

Hiring Manager

Blind Squirrel Gar

ゲームベデロッパーBlind Squirrel Games のリクルート・マネージャー

この日はオンラインでのパネルディスカッションで、Zoomのチャット機能でリアルタイムに質問を受けつけながらのパネルとなった。以下はその要約と抜粋である。

――パネラーの皆さん、簡単に自己紹介をお願いします。

ジム・リバース(以下:ジム)です。Blind Squirrel Gamesのシニア・リクルーターです。Blind Squirrel GamesはEA、Bioware、Microsoft、Tencentなど数多くのスタジオと仕事をしてきました。私がゲーム業界に入ったのは2004年です。当時はPlayStation 2の全盛期で、業界にどれだけ長くいるかは、会話の中で「どのプレステで遊んでいたか」で自動的にバレる仕組みになっています(笑)。私の専攻はアートでしたが、交渉術やコミュニケーション能力に長けていたので、リクルーティングに携わる事になりました。

デブ・ストーン(以下:デブ)です。ILLUMINATIONのリクルーティング・ディレクターです。私が長編アニメーションに携わるようになったのは2005年で、Disney Animation StudiosやBlue Sky Studiosを経て、1年前からILLUMINATIONに在籍しています。ILLUMINATIONは、ここLAにヘッド・クォーターがあり、サンタモニカのオフィスでは100人弱がフィルム・デベロップメントやマーケティングを行っています。またフランスのパリにアニメーション・スタジオがあり、ここでは約800人が働いています。現在たくさんの作品を抱えており、とても忙しくしています。

キャスリーン・ルファロー(以下:キャスリーン)です。Framestoreのアメリカ国内にあるLA、シカゴ、NYにあるスタジオの人材募集を総括する、リクルートメント・マネージャーです。Framestoreは世界中に拠点を持つグローバル・カンパニーで、全世界に2,000人のクルーが働いています。フォト・リアリスティックなVFXに主眼を置き、映画、ドラマ、コマーシャル、イマーシブ・コンテンツを手掛けています。アメリカ国内のスタジオでは、コマーシャル、ドラマ、そしてVR/AR/MR等のイマーシブ・コンテンツを制作しており、NYに100人強、LAは100人未満、シカゴは少し小さくて40人弱、総勢で国内は300人ほどの体制でプロダクションを進めています。今年は昨年と比較すると忙しくなっており、これはビジネスとしては嬉しい傾向と言えるでしょう。

――みなさんは、どのような人材を募集していますか?

Kathleen Ruffalo/Recruitment Manager-FramestorePhoto Courtesy: LA SIGGRAPH

キャスリーン氏:Framestoreは大変忙しく、多くのポジションの人材を求めています。アーティスト、パイプラインやソフトウェア開発、イマーシブ分野など。また人事などのサポートスタッフも必要です。さまざまなリージョン(国や地域)に拠点があり、特に最近では映画とドラマ分野でメソッド・スタジオを統合しましたので、メルボルンやバンクーバーの拠点が増えた事で、更なるグローバル・リクルーティング・チームの強化も必要になってきました。

ジム氏:我々はゲームのビジネス・デベロップメントからQAに至るまで、幅広いポジションの人材を求めています。アメリカ国内にはアーバインとテキサスにスタジオがありますし、おそらく夏頃にニュージーランドのオークランドにもスタジオをオープンする計画も進めています。

デブ氏:サンタモニカのスタジオでは、フィルム・デベロップメントに必要なストーリーボード・アーティストに加え、マーケティング、IT、HR(人事部)を募集しています。また、パリのアニメーション・スタジオには独自のリクルーティング・チームが存在し、プロダクションのニーズに合わせて採用を行っています。

――過去数年で、フリーランサーとスタッフ(正社員)の比率に変化はありましたか?

デブ氏:サンタモニカのスタジオはフィルム・デベロップメントがメインという立ち位置なので、ストーリーボードとビジュアル・デベロップメントのアーティストは、ほぼフリーランサーと契約してきました。また私達のビジネス・モデルとして、コロナ以前からフリーランサーとリモートワークで仕事をしていました。一方、パリのアニメーション・スタジオでは、ほとんどのアーティストがスタッフです。

ジム氏:リモートワークの観点で言えば、アーバインのスタジオはまだ新しく、100人のクルーのうち9割はリモートワークで勤務しています。コロナが落ち着いてきたので全社ミーティングで意見を聞いたところ、家庭持ちの人も多く、自宅での勤務を希望する人が多いという事もわかりました。しかし、中にはオフィス勤務を好み、敢えて出勤している人もいます。アーティストはフリーランサーが多く、彼らは全米19の異なる州からリモートで働いています。また、カナダからリモートしている人も1人だけいますね。

キャスリーン氏:Framestoreはスタッフとフリーランスがバランス良く混さった環境だと思います。特にコマーシャル系のプロジェクトではフリーランサーを雇用する事が多いです。例えばストーリーボード・アーティストのように、必要な時だけ契約するのがフリーランサーの好例と言えます。映画の場合は作品ごとのコントラクト(契約制)で、プロジェクトが続けば契約更新も可能です。多くの場合、フリーランサーもFramestoreの一員として、税法上はW2(給与が源泉され、契約によってはベネフィットなども付く)で雇用します。

――良い人材はどうやって見つけていますか?

ジム:たくさんの方法がありますが、Linkedやコンベンションは良く活用します。また、外部に募集する前に社内で告知して、クルーから元同僚などを紹介してもらって採用する例も少なくありません。

デブ氏:ジムが今お話したような、紹介による採用は信頼度の高い良い人材を獲得出来る手段として有効だと思います。業界経験が長いシニア・レベルの方は、元同僚や知り合いのリクルーターにコンタクトしてアプローチするのも良い方法だと思います。

私は個人的に、ジュニア・レベルからの応募を見るのが好きですね。すごい数の応募があり、中には将来の可能性を感じる人もいます。人数やタイミング等で直ぐには採用に結びつかない場合もありますが、その時はダメでも、また次の作品に採用される可能性が残っているのです。臆せず鋭意応募される事をおススメしたいです。

キャスリーン氏:…私が言おうと思った事は、今ジムとデブのお二人が話してしまったので、別の観点のお話をします。

Linkedinをレゾメ代わりに活用している応募者は多いと思います。しかし、社内の応募プロセスでは「PDF形式のレゾメ」が必要となるケースが多いのです。Linkedinだけではなく、自分のWebサイト等にPDF形式のレゾメがアップされていると私達リクルーターにとっては、すごく大きな助けになります。また、担当した作品のリンク等が含まれていると、リクルーター達が毎回Google検索をして探す手間が節約できるのです。また、連絡しようと思っても、どこにもメールアドレスの記載がない場合も少なくありません。必ずメールアドレスを明記してください。

もうひとつ重要な事は、「レゾメを絶対にWordファイル形式でアップロードしない」事。もしWordファイルだったら、即座に落とされてしまう危険性すらあります。必ずPDF形式で応募してください。

――私が感じたのは、Linkedinに記載されているメールアドレスと、Webサイトに記載されているアドレスが同一ではなく、しかもメールを送っても反応が無い事があります。日常チェックしているメールアドレスを記載しないと、意味がありませんね。

ジム氏:それに関連して、我々リクルーターの間で「常識」になっている事をお話しましょう。もし応募者のWebサイトを開こうとして、そのリンクが繋がらなかったら、その瞬間、ほぼ不採用となります。しかし、私は良い人なので(笑)、ちょっと間を置いて2回まではトライしてあげます。応募書類のリンクが全て通っているかどうか、友人などの第三者の協力を仰いでQCする事も大切だと思います。

――Webを見たら更新が2014で止まっていて、レゾメもそこで終わっている人を見た事があります。これでは採用に繋がりませんね。

ジム氏:ゲーム業界で、特にシニア・レベルの人材に多いのですが、現在のポジションに甘んじてリールや応募書類を長年更新しておらず、レイオフになってしまい、いざ就活の必要に迫られた時に何も準備が出来ていないケースが見受けられます。定期的に書類を更新するなどの備えを行っておく事をオススメします。

――学生によく見られるのが、時間を掛けたり、大変だった作品をWEBに上げたがる。アニメーター志望の学生が、モーション・デザインの作品をWEBに上げているので、「あなたはモーション・デザイナー志望なの?」と聞いたら、「いいえ違います。ただ、この作品は大変だったから見せたかったのです」と。「このWebだと、モーション・デザインのオファーは来るかもしれないけど、アニメーターのオファーは来ないわよ。やりたくない分野の作品をWebに上げてどうするの?」とアドバイスしました。

ジム氏:私も同じ経験があります。友人で、優秀なVFXアーティストであり、なおかつエンバイロメントにも長けたアーティストがいるのですが、彼女のサイトを見たら、両方のカテゴリがごちゃまぜにアップされている。私は「これじゃあダメだよ。ちゃんと別々のサイトに分けないと」とアドバイスしました。すると、「え~面倒ね~、ものすごい作業量だわ!」と。…あのね、もしも仕事を得たいと思ったら、そういう手間を惜しんでは駄目です。その手間は、後で「ポジション」という対価で、きちんと返ってきますよ。

――良い人材を見つけるのが難しいポジションは?

ジム氏:シニア・レベルのテクニカル・アーティストですね。長年経験を積んだ人材は、得意不得意もありますから、我々が求めている特定のニーズにピッタリ適合する人材を見つけるのは、なかなか難しいです。最近の例だと、適任者を見つけるのに6カ月を費やしました。

キャスリーン氏:ライターとコンポジターは頻繁に募集するポジションの1つです。特に、今年はかつてない程プロジェクトが多く、オリジナルIPでVFXが必要とされる作品も増え、業界はものすごく忙しい状態です。リアルタイムやバーチャル・プロダクションのニーズ増で、ゲーム業界から人材を引っ張ってくる事も増えました。

最近ではシリコンバレーのテック・カンパニーとの人材獲得合戦も多いですね。なぜなら、彼らはインハウスのVFXチームを抱えていたりしますから。

Framestoreでは、ライティングにHoudiniを使っています。もしHoudiniを勉強しようかと考えている人には、ライティングやモーション・デザインの分野などでもニーズが増えていますので、ぜひ習得する事をオススメします。Unrealも同様の事が言えます。

――たしかに、うちの大学Otisでも、学生から要望が増えたので、Houdiniのクラスを開設しました。

デブ氏:私の経験でも、パイプラインの中でHoudiniが関わる割合が増えてきていると感じます。

――ジム、UnrealやUnity等がVFX業界でのニーズが増えていますね

ジム氏:私がゲーム業界に入った時は、どの会社も自社開発のゲームエンジンを使っていて、他社がどんな事をやっているのか全く未知の状態で、自社エンジンの開発にもそれなりの予算を割いていました。しかし現在ではUnrealやUnityを使う事で開発費を抑えられ、また学校でそう言ったツールを勉強してきた人材を獲得出来るという利点もあります。

――これまでお話を伺った範囲では、総じて人材ニーズは増加しているようですね。しかし、依然として仕事を得るのは簡単ではありませんね。

ジム氏:特にシニア・レベルの人材は、いろいろ大変だと思いますよ。考えてみてください。私が業界に入った頃は、ほとんどのクルーは若く、まだ家庭を持っていませんでした。特に私の周囲では2004~2008年頃にかけ、急に家庭を持ったり子供が生まれたりで、"業界は一変"しました(笑)。

そしてテック(テクノロジー)も数カ月単位で進化していきます。特にUnreal 5 (Unreal Engine 5)が出た時は、大勢のエンジニアが「これをどうやってパイプラインに組み込んでいくか?」文字通り手探り状態でした。たくさんのゲーム・パブリッシャーが「Unreal 5デベロッパーが必要だ!」と言ってきたのですが、まだUnreal 5の使用経験が十分に無い中で、4~5カ月という限られた時間の中で習得して対応しなければなりませんでした。あの時は日進月歩のテックに順応していく大変さが、身に染みましたね。

――日々のリクルートの中で、優秀な人材を採用した後で、「不足しているな」と思う要素はありますか?

Deb Stone/Director of Talent Recruitment-ILLUMINATIONPhoto Courtesy:LA SIGGRAPH

デブ氏:「エンターテインメント・バリュー」ですね。例えばアニメーターの場合だと、スクリーンに登場するキャラクターを動かす訳ですが、彼らは技術的には優れていても、悲しい場面、ハッピーな場面で「キャラクターをどう演じさせるか」が理解出来ていない人が意外と多いのです。

これはライティングにも言える事で、どう「シネマティック・バリュー」を持っているかで、美しい絵のようなライティングが出来たり、完成度の高い絵作りが出来たりする訳です。

キャスリーン氏:前向きでポジティブな振る舞いと、チームとのコラボレーションが上手な人は好まれますね。そうでない場合、チームワークを乱したり、クライアントの要望にうまく応えられずプロダクションのペースを停滞させてしまったりします。柔軟な姿勢でディレクションを受け入れ、その上に自分のアイデアや持ち味をエッセンスとして加え、チーム全体を良い方向に導く、そんな人材が望まれます。

――こんな質問が来ています。「リクルーターの目に止まり、インタビューに漕ぎ着ける秘訣は?」

キャスリーン氏:Framestoreの場合は、Webから応募して頂くのがベストです。社内データベースに情報が入り、私もすぐに目にする事でしょう。続いて、Linkedin経由ですね。ただ、多くの方からお問い合わせが入る事もあるので、個々のレスポンスには時間が掛かる場合もあります。

ジム氏:定期的にリクルーターにコンタクトして、顔や名前を覚えてもらうと良い場合がありますね。

デブ氏:近くで業界関連イベントがあれば可能な限り参加して、リクルーターと接する機会を増やし、コネクションを作る事は大切だと思います。

キャスリーン氏:定期的にコンタクトする場合、その都度リールやポートフォリオをUPDATEする事が大切です。そこが、「ただ単に連絡してくるだけの人」なのか、「継続してスキルを磨いている人」なのか、分かれ道になります。

――参加してみると良いイベントは?

デブ氏:

CTN Animation Expo

これは感謝祭の前くらいに、LAのバーバンクで開催されるエキスポです。

SIGGRAPH

おなじみ、夏のSIGGRAPH。

The Ottawa International Animation Festival

これはカナダのコンベンションです。

FMX

ヨーロッパ圏の人は、5月にドイツで開催されるFMXがおススメです。

などなど、世界中にたくさんのイベントがあります。これ以外にもたくさんあります。学生の方は、学生ボランティアをすると割引きや特典がありますから、是非参加してみると良いでしょう。

ジム氏:ゲーム業界のバイア、GDC、SIGGRAPH、

Penny Arcade Expo

などが挙げられますね。

キャスリーン氏:興味のあるスタジオをフォローして、情報を得るのも良いと思います。スタジオ毎に求人イベントを開催している場合もありますし、コンベンションより少人数でお手軽です。また、私は「

アクセスVFX

」という組織を推奨しています。無料のプログラムが用意されていて、これから業界を目指したいエントリー・レベルの方は、是非ご参考ください。

――新しく出来たポジション、そして廃れたポジションなどはありますか?という質問が来ています。

キャスリーン氏:VFX業界では、リアルタイム・コンテンツ関連のポジションが急成長していて、これは揺るぎのない存在となりつつあります。

反対に、無くなりつつあるポジションは、「ランナー」(著者注:アシスタント/雑務係)ですね。1つの理由はリモートでオフィスの人数が減った昨今の事情もあります。以前であれば、各オフィスに10人のランナーがいましたが、今は2人くらいです。クライアント・サービス関連のポジションも減りつつあります。

ジム氏:ゲーム業界で「無くなりつつあるポジション」は幸いにしてありませんね。逆にどんどん追加している状態です。私がゲーム業界に入った時は、デザインのポジションはレベル・デザイン、ナレーティブ・デザインなどを含む3種類だけでした。今では細分化され、15の異なるデザインのポジションが存在しています。

デブ氏:ステレオ立体視のポジションに対する懸念はありますね。VRやARで立体視が一般化し、今後どのくらいのスタジオがステレオ映画を作りつづけるか?は、コロナのパンデミックが完全に収束した後でないと見えてこないと思います。今後5年くらいで、わかってくるかもしれません。

――イマーシブ分野の今後は?

キャスリーン氏:Framestoreには、VR/AR/MR/XRなど「伝統的(Traditional)なイマーシブ」と呼ばれる部署があります。これは消費者の興味に依存する分野なので、変化が著しいです。例えば、VRは一時期よりも下火になり、モバイル(携帯)などで行えるARが今後伸びるだろうと言われています。常設施設に設置するロケーション・ベースのMRは予算があるので今度も伸びる可能性を秘めています。また「マンダロリアン」の成功事例に見られるバーチャル・プロダクションのニーズも増えています。

――質問が来ました。「インタラクティブ・メディアの学位を持つ新卒の学生です。ゲーム業界に入りたいのですが」と

Jim Rivers/Hiring Manager-Blind Squirrel GarPhoto Courtesy: LA SIGGRAPH

ジム氏:これはあくまでも私見で、長年の経験から学んだ事ですが、学位や専攻分野は何でも良いと思います。あなたが作品で私達を感銘させてくれれば、採用されます。一例を挙げると、うちのアーティストには農学部出身がいます。彼は、大学でトラクターのプログラミングを学びました。しかし農業ではなくゲーム業界へ来て、優れたプログラマーとして活躍しています。

また、ある時、大勢のアーティストがスケッチをしている中で飛び抜けた才能をもつ人がいました。彼はアートの学位を持つ訳でもなく、高卒でした。しかし彼は現在、私の知る中で最も優秀なアーティストの1人です。「Right Place、Right Time」この一言に尽きると思います。個人の資質が大切で、学位や専攻は、あまり重要だとは思いません。あとは、「自分が、何がやりたいのか?」を明確に持っている事が大切だと思います。

デブ氏:自分をうまくプレゼンする、という事は大切です。業界に入りたければ、それぞれのポジションでデモリールの構成が異なります。AAAゲームとインディ・ゲームでは異なりますし、長編アニメーションのアニメーター、コンセプト・アート、それぞれの分野で求められるデモリールにするべきです。あなたが誰で、何をしたいのか?就職した後の週40時間に何を捧げたいのか?を見せなければなりません。自分が本当にやりたい分野に就くためには、大切な事です。

――ソーシャル・スキルで大切な事は、ありますか?

ジム氏:マナー。そして謙虚さも大切です。そして、「相手の話をよく聞く事」ですね。

面接に来て、聞かれてもいない内にペラペラと喋り出したり、応募者なのに面接の主導権を握ろうとするのは、避けた方が賢明だと思いますよ(笑)。

――そろそろお時間です。今日はありがとうございました。

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