若者の新築に100万円補助 定住対策で和歌山県みなべ町

和歌山県みなべ町役場

 和歌山県みなべ町は若者の定住を促進するため、本年度から、対象者が町内に住宅を新築する際に100万円を補助する。また、町内の空き家に移住する際の改修や家財片付けの費用も支援する。近年、町内の人口が減り続けており、町産業課は「町外への人の流出を食い止め、新たに人を呼び込みたい」と話す。補助金を盛り込んだ本年度の一般会計補正予算案を16日開会の町議会5月定例会に提案した。

 町住民福祉課によると、2015年4月末現在の町内の人口は1万3568人だったが、その後、毎年200人前後減り続け、今年4月末現在は1万2054人になっている。出生者数を死亡者数が上回る自然減が主な要因で、他に若者が進学や就職で都市部に移ることや、結婚などで住居を構える際に近隣の市町に流出することもあるという。

 住宅新築への支援は18~39歳の人(夫婦であればどちらかだけでも構わない)か中学生以下の子どもを扶養する人。

 同様の支援は、みなべ町では初めて。町産業課は「他市町への流出を食い止めると同時に、若者や子育て世代が定住するきっかけになればと思う」と話している。

 空き家の改修や家財片付けへの支援は、県の支援事業を補う形で取り組む。県の支援事業は旧南部川村エリアに県外から移住する人が対象だが、町ではその対象にならない旧南部町エリアに移住する人や県内からの人を支援する。県内の空き家を紹介する県のインターネットサイト「わかやま空き家バンク」に登録した物件が対象。補助額は県と同様に改修が対象経費の3分の2以内で限度額は80万円。家財片付けは全額で限度額は8万円。

 町は、年々増加傾向にある空き家の対策として、傷みが激しい空き家を撤去するために補助を出している他、再利用のために空き家の情報発信もしている。今回の支援は、それから一歩踏み込んだ。

 今年1~3月には町内各区の協力で空き家の状況を調査した。16年度の調査では333戸の空き家が確認でき、その後、昨年度末までに84戸を撤去した。今回の調査で新たに191戸が加わり、空き家は計440戸。町は近く、各空き家を見て回って利用が可能かどうかを確認するという。その後、貸し出してくれるかどうかなどを調査し、有効利用を目指す。

 町産業課は「空き家を有効利用することは、町の環境が良くなり、活性化につながる。できれば地元の主産業である農業の後継者確保にもつなげていければと思う」と話している。

 若者定住促進のための新築住宅取得支援は30戸分3千万円、空き家の改修支援は3戸分240万円、家財片付け支援は3戸分24万円を計上している。

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