50歳までに6000万を貯めて仕事のペースを落としたい43歳。iDeCo、NISAの次の一手は?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、43歳独身、会社員の女性。現在は年収900万円台と高収入ですが、過酷なノルマで定年まで仕事を続ける自信がない相談者。目標として、50歳までに6,000万円を貯めて仕事のペースを落として暮らしたいと言いますが、iDeCoやNISAの次の投資はどうすればいいでしょうか? FPの伊藤亮太氏がお答えします。


iDeCoとNISA、次の一手で途方に暮れています。

現在43歳、独身で結婚の予定はありません。都内の古いマンションで、気楽な賃貸暮らしです。「住宅ローンは借りるなら45歳まで」、と聞きつつマンション購入に踏み切れないでいます。iDecoとNISAは上限まで、特定口座とプラスして月5万ほど投資にまわしています。残った毎月10万程度と、ボーナス全額を預金に回しています。しかし超低金利なのでほかにお金を生かす方法はないのか、iDecoとNISAの次に何をすればいいのか分からず、途方に暮れています。

住宅ローンを組めば会社から助成があるものの、過酷なノルマで定年まで勤めあげる自信は皆無です。現在年収900万円台ですが、これは今だけという割り切りもあり、高価なマンションのローンで都内に縛り付けられる怖さもあります。あまりにもマンション価格が上がって、手が出なくなったというのも正直ありますが。

50歳までに6,000万を貯めて、FIREとは言わないまでも、転職か社会保険のきくアルバイトで仕事のペースを落とすこと、都心の風も入らない高層マンションより、自然がある場所で柴犬でも飼いながらのんびり暮らすのもいいな、とぼんやり考えてます。

そのために、iDeCoとNISAの次の一手として、何ができるか教えていただきたいです。

【相談者プロフィール】

・女性、43歳、会社員、独身

・住居の形態:賃貸(東京都、一人暮らし)

・毎月の世帯の手取り金額:34万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:150〜250万円

・毎月の世帯の支出の目安:13万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:7万3,000円

・食費:3万円

・水道光熱費:8,000円

・通信費:4,000円

・車両費:なし

・お小遣い:1万円

・その他:5,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:10万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):1,900万円

・現在の投資総額:200万円

・現在の負債総額:なし

・ボーナスからの年間貯蓄額:200万円

伊藤:ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。回答させていただきます。

まず質問者の方のお考えから言えば、マンション購入はせず賃貸でいく方がよろしいかと思います。どのような生活になるかわからないのであれば、無理して買わず賃貸で住む方がよいでしょう。

投資は金融資産の30%を目安に

次に、運用に関してですが、現在43歳ですからまだまだ運用できる期間は長く取ることができます。そのため、iDeCoとNISAを活用して運用されていることは状況として望ましいと思います。

状況から想定すると、預貯金1,900万円に対して投資金額が200万円ですから、30%ぐらいまでは投資の比率を高めてもよさそうです。預貯金額が多くなっている点、堅実な生活をされている点を考えると、それ以上思い切った運用はされないほうがよいと考えます。そのため、現状では600万円ぐらいまでは投資へ振り向けてもよいでしょう。

外貨建て個人年金保険や変額個人年金保険を検討してみては

質問者の方の場合、現在具体的に何に投資されているかがわからないため、回答しにくい部分があるものの、保険は何も加入されていないように見受けられます。もし老後の資金構築ということであれば、外貨建ての個人年金保険や変額個人年金保険の活用もあってよいかと考えます。

これは二つの理由からです。iDeCoやNISAを活用されているということは、非課税の恩恵を受けたいからと考えます。であれば、生命保険料控除を活用し、節税を図るという観点があってもよいかと考えます。外貨建て個人年金保険の保険料は、個人年金保険料税制適格特約が付加できるものに関しては個人年金保険料控除が適用できます。一方、変額個人年金保険の保険料は、一般の生命保険料控除が適用できます。これらをうまく活用し、控除を適用されるとよいでしょう。なお、今後加入する保険契約では、年間の支払保険料が8万円超の場合、4万円の控除が適用できます。

もう一つの理由は、外貨建て個人年金保険を活用し、米ドルやユーロ、豪ドルなどで運用し金利と為替差益を稼ぐ視点からです。米国をはじめ、世界では金利を引上げるケースが増加しています。日本の金利が変わらないとして、他国の金利が上昇すれば、一般的には外国通貨高円安になります。今後もそうした流れが期待できるため、金利、為替の両面から増やすことができる可能性があります。

また、変額個人年金保険では、ご自身で投資配分を決める必要があるものの、国内外の株式や債券に投資するファンドへ投資ができます。すぐお金を引き出すといたことがなさそうであれば、気長にコツコツ積み立てによる投資を行ってみてはいかがでしょうか。

リスクヘッジの観点から債券投資も一考を

この他に考えたい視点としては、リスクヘッジを挙げておきます。今投資されているもの以外の部分も考慮しておくと言うことです。仮に債券投資がされていない場合には、国内外の債券や債券投資信託も考慮に値します。株式に比べるとリスクもリターンも低くはなるものの、株式市場が荒れている昨今では力を発揮する可能性があります。

すぐに3割程度まで引上げなくても構いません。むしろ月々の投資金額を少しずつ増やし貯蓄する金額の比率を徐々に下げていきましょう。そして、株式市場が大きく下落するといった場合に、ある程度まとめて投資できる態勢を整えておかれたほうがよいでしょう。アメリカのナスダック市場などは、昨年11月ぐらいから大幅に下落しており、なかなか回復する見込みが立っていません。無理に投資する必要もないのです。こうしたときは何もせず現状維持も選択肢にあがります。

とはいえ、ご希望に添ってアドバイスを行うとすると、外貨建て個人年金や変額個人年金保険の活用、月々少しずつ投資への比率を引上げていく。これがよいのではないかと考えます。

※あくまで質問者の質問に沿った回答です。状況によって投資配分や投資内容の提案は異なります。
※投資は自己責任でお願いします。ファイナンシャル・プランナー(FP)はあくまでも一般的な配分や考えをアドバイスする専門家であり、個別具体的なアドバイスは投資顧問、投資助言業など金融庁の登録を受けた方しかできません。個別具体的なアドバイスを期待される方は、それ相応の対価を支払い投資顧問などへご相談ください。

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