庶民の味方は健在! 250円弁当と大盛りカツ丼

原油高に始まり、さまざまなものが値上げとなる中、踏ん張っている店がここに! きょうのテーマは、「庶民の味方は健在です! 250円弁当と大盛りカツ丼」

最新の東京の消費者物価指数です。去年の同じ時期に比べて電気代は25.8%増、タマネギはなんと88.7%増。物価は大幅に上昇しています。ウクライナ侵攻の影響もこれから出るのではと心配は尽きませんが、長年、物価の上昇に抗ってきた “庶民の味方” は今、どう対応しているのでしょうか。2つの名物を取材しました。

中根夕希キャスター
「ありました、250円のお弁当。このボリュームで250円はもう安すぎます。しかも唐揚げ弁当に、豆腐ハンバーグ弁当、チキンカツ弁当など、こんなに種類があるなんて、すばらしすぎます」

ずらりと並んだお弁当。値段はどれも250円、税込み270円です。広島市中区河原町にある『新鮮市場GOGOやまぐち』の名物弁当は、いまも変わらぬ値段で販売されていました。

訪れた客
「助かっています。」
― 安い?
「だいたい安いですね。」
― 週にどれぐらい来店?
「週3日は来ます」

新鮮市場GOGOやまぐち 平田憲造本部長
「250円弁当は、もう17年ぐらいやっている。当時から比べると、仕入れ価格がもう全部上がって…」
― 上がったものは?
「油や小麦とか。10%から15%ぐらい上がっています」

からあげ弁当のもも肉は40円のアップ。塩さば弁当のサバは30円の値上げ。

そのほか、調理に使う油は2倍の値段となりました。

それでも名物弁当ゆえに、なかなか値上げに踏み切れないのが現状です。ボリュームを減らすこともせず、毎日、10種類・およそ800個を売り場に並べています。

中根夕希キャスター
「わたしは肉団子弁当にしました。このお弁当もご飯を炊く電気代に。あとパスタも小麦ですよね。さらに野菜も高騰していますから。でも、これで250円なんです。」

「甘辛さもいいですし、すごくふわふわしていて、おいしいです。大満足です」

キャッシュレス決済をやめ、クレジット会社に払う手数料を節約したり、これまで培った取引先との信頼関係で仕入れ価格を抑えたり…。250円弁当は今もなんとか赤字だけは避けられているといいます。

新鮮市場GOGOやまぐち 平田憲造本部長
「本当は税込みで300円ぐらいにはしたいんですけど、手作りで『本当においしい』と言っていただいているので。安売り魂は信念なので、ずっとやっていきたいと思っています」

中根夕希キャスター
「広島市安佐南区にあります『たこつぼ』にやってきました。味のある雰囲気の外観ですね」

広島市安佐南区伴東に店を構えて35年。大衆食堂の『たこつぼ』です。メニューが豊富で、近くに大学や高校があることから “伝説の学生食堂” として親しまれています。

中根夕希キャスター
「牛丼550円ですね。カレーライス400円。いや、すごいですね」

店主は、御年84歳の泉賢一さん。店の売りは「安い! 多い! うまい!」の三拍子そろったメニューです。

名物は「かつ丼の大盛」です。550円の値段を開店以来、守り続けてきましたが…。

値上げされていません。学生からは大盛り分の20円は取らないというサービスも変わっていませんでした。

中根夕希キャスター
「お肉が柔らかくって、味がすごくしみ込んでいます。かめば、かむほど、その味がじわっと出てくる感じが…」

もう1つの名物メニュー、牛ホルモンを使った「でんがくラーメン」もこれまでどおり500円のまま。

中根夕希キャスター
「プリプリしています、ホルモンが。そして、麺がスルッと入る。あっさり系でおいしいです」

すべてのメニューで35年間、すえ置いている値段は、昨今の値上げの嵐にも吹き飛ばされていませんでした。ただ、事情を聞いてみると…。

たこつぼ 泉賢一さん
「ガスとかいろんなものが上がってきたので、やっぱり赤字が出てくるんですよね」

実は赤字。メニューが豊富なだけに原材料費の高騰は重くのしかかっています。

泉賢一さん
「3割~4割は違いますね。白菜・キャベツにしてもきのうは120円、きょうは210円とか…」

これまで2万円台だったガス代は3万円を超える月も出てきました。

先月、53円だった中華麺は今月は57円に。卵は160円が180円に。玉ねぎ1袋212円が、400円を超えた日もありました。

特売日にまとめ買いをしたり、知り合いの農家から安く野菜を分けてもらったりしていますが、利益が出るまでには至っていません。それでも泉さんは値上げを考えていません。

泉賢一さん
― どうやって補てん?
「自分の年金があるので、それでまかなう。生活ができるんです。みなさんに喜んでもらうのが一番、自分の幸せだと思っています」

跡を継ぐ人がいない泉さん。どんな嵐が吹いてこようが、学生たちの味方として営業を続ける覚悟です。

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