「想定外」はもう許されない 全国に57基、全てを防衛システムで守れるのか 【コラム・明窓】

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 「想定外」という言い訳は、もう許されないだろう。原発への武力攻撃があった場合の対応だ。11年前の福島第1原発事故をきっかけに、それまでの「安全神話」が崩壊。過酷事故やテロ攻撃に備えた対応は一応定められた。ただ、新たな規制基準でもミサイルなどによる武力攻撃は想定されていない。

 そんな事態がロシアによるウクライナ侵攻で実際に起きた。大事には至らなかったが、原発が標的になったことは事実だ。原発への攻撃は国際条約で禁止されているとはいえ、戦いが始まってしまえば守られる保証はない。

 日本には廃炉中を含めると57基の原発に加え、関連施設がいくつもある。その全てを今のミサイル防衛システムで守れるのかと思う。いつ、どこに何発飛んでくるか予測できない上、仮に北朝鮮からなら10分足らずで届く。

 不安をあおるわけではないが、核弾頭でない通常のミサイルが原子炉本体を直撃しても大丈夫なのか。さらに配管系や使用済み核燃料プール、送電鉄塔が破壊されたらどうするか。

 公表はされなかったものの、外務省が財団法人・日本国際問題研究所に委託した1984年の調査報告では、格納容器が破壊された場合の被害予測も出ている。国策で原発に頼る以上は、新たに予測をし直して公表。「百発百中」のミサイル防衛が無理なら、万一の場合はどうするか。立地地域の住民に教えてもらいたい。