障害者が「遠隔接客」 分身ロボットを操作 平塚市役所内の福祉ショップ

遠隔操作で接客業務に取り組むオリヒメ(左端)=11日、平塚市役所

 肢体不自由などで移動が困難な障害者の就労機会を増やそうと、神奈川県は分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を遠隔操作して在宅で接客業務に携わる事業を、平塚市役所1階の福祉ショップ「ありがとう」で16日からスタートした。共生社会の実現に向けた取り組みで、来年3月末まで実施。県の担当者は「就労支援の位置付け。(障害者が)場所を選ばずに働ける可能性が広がれば」と期待している。

 「いらっしゃいませ」「お会計は180円です」。オリヒメの本格稼働を控えた11日の研修。障害者の手作り商品を販売する同ショップに朗らかな声が響いた。分身ロボットを自宅から遠隔操作したのは、県内在住の女性「みさき」さん。高さ約23センチの小型ロボから発せられた声に買い物客は驚いた様子で、手を振り、会話を楽しむ姿があった。

 県の会計年度任用職員として週3回勤務するみさきさんは、循環器疾患の体位性頻脈症候群と筋痛性脳脊髄炎により車いす生活を余儀なくされており、「仕事で外出するのは難しいけれど、こうしてたくさんの方と話ができてすごく充実している」と声を弾ませる。

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