長崎平和特派員の森下さん 田上市長に活動報告 「親ロシア派 避難民にも支援を」

ロシアとウクライナ周辺国での活動を報告する森下さん(左)=長崎市役所

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、避難民の支援をしている兵庫県西宮市の活動家、森下雄一郎さん(44)が16日、長崎市役所を訪ね、ロシア国境付近の都市に避難した「親ロシア派」住民に国際的な支援が十分に届いていない現状を田上富久市長に報告。「(立場が違っても)困窮している人に変わりはない」として支援の必要性を訴えた。
 米プロバスケットボール選手だった森下さんは引退後、被爆者との交流を契機に2019年から海外で原爆展を開催。被爆者の体験や思いを届ける傍ら、途上国支援などの活動を続けている。
 ウクライナ侵攻を受け「(ロシア側とウクライナ側の)双方の声を聞きたい」と考えた森下さん。3月9日から4月17日までの間、避難民がいる周辺国やロシアを訪れ、100人以上から話を聞いたという。
 国境沿いのロシアの都市ロストフにある避難民キャンプには、ウクライナ東部ドンバス地域から「親ロシア派」住民が避難。周辺国で活動していたような国際NGO(非政府組織)などの姿は見えず、国際的に孤立しているように感じたという。
 森下さんは飲料水やおむつ、生理用品など必要な物資を確認し、1200人分を手配。一方、周辺国では反ロシアの住民の避難を手助けし、金銭的な支援もした。「どちらもウクライナの避難民。『親ロシア派』住民の声も聞いて寄り添ってほしい」と訴えた。
 森下さんは長崎市が認定する「長崎平和特派員」。被爆体験の継承や核兵器廃絶に向け国外で活動する25人と1団体を認定している。


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