種田山頭火の世界を表現した朗読劇など 5月29日に「女流芸術家発表交流会」

▲種田山頭火(旧小林寫真館本店 小林銀汀撮影)

 「明日を紡ぐ大地の会」(福島光子代表)による「第9回女流芸術家発表交流会」が、5月29日(日)午後1時半からニューメディアプラザ山口(山口市熊野町1)で開かれる。サンデー山口など後援。 

 これは、地域に根差した文化芸術団体のネットワークづくりや、山口に関連のある優れた古今の作品に光を当てることなどによって「市民の郷土への誇りを高めよう」と、春(女流芸術家発表交流会)と秋(市民みんなの文化祭)の年2回開催されている合同発表会だ。今年で開催10周年を迎え、6月には芸術団体らとともに歩んできた10年の歴史を振り返る報告集「みんなで燃やした文化の火―市民文化共同発表会十年のあゆみ」も出版する予定だという。 

 出演するのは同会に加え、①Ototumugiサクソフォン・カルテット②藤村順子さん③ブラッドオレンジ④むつみ会の4団体。 

 ①は、サクソフォン奏者の甲斐尚美さんが、音楽を学ぶ学生たちとともに楽曲「Decipher」などを演奏する。メンバーの中には音楽の道を志している小中学生もいる。 

 ②は「浜辺の歌」や「星に願いを」など、4曲を組み合わせた日本の抒情歌メドレーで、ピアニスト・重松大悟さんの伴奏とともにフルートの音色を響かせる。 

 ③はパーカッション奏者の川手艶子さん率いる音楽ユニット「ブラッドオレンジ」が、「ジュピター」と「島人の宝」「童神」「花」の3曲をアレンジした沖縄メドレーを演奏。同舞台に立つのは3年ぶりだ。 

 花柳文都姫さんが会主の④は、「黒田節」「おてもやん」「秋田大黒舞」の3曲と、清元「青海波」を舞う。 

 そして、主催の「明日を紡ぐ大地の会」は、朗読劇「いのちの道しるべ-種田山頭火の世界・前編」を上演する。世界大恐慌や関東大震災、戦争など、俳人種田山頭火が生きた時代の社会情勢と照らし合わせながら彼が詠んだ俳句を読み解き、作品に込められた思いや信条、生き方を表現する。 

 1882年に防府市で大地主の家に生まれた山頭火は、10歳の時に母親の自殺という壮絶な体験をした。早稲田大学文学部に進学するも中退。経営していた酒造場の倒産、一家離散、離婚、出家などを経た後、放浪の旅に出て句作を続け、生涯に詠んだ自由律俳句は多くの人に親しまれている。1932年から38年の間に旧小郡町(現山口市小郡)で結んだ「其中庵」は1992年に復元され、現在も訪れることができる。 

 同会の福島久嘉さんは「世界では戦火が広がり続けている。人間の美しい生き方を追究し、生きる道しるべとなる文化・芸術が今こそ必要だと思う。この会が『平和で心豊かなふるさとを!』という思いにあふれる平和の祭典となるよう出演者一同願っている」と話す。 

 チケットは、大人1000円で高校生以下は無料。山口市民会館、C・S赤れんが、山口井筒屋、YCAM、三好屋楽器店で購入できる。問い合わせは、福島さん(TEL083-921-2476)へ。

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