ロボットが、国連の SDGs(持続可能な開発目標)の達成を後押し

  • 国際ロボット連盟(International Federation of Robotics)の報告書

フランクフルト--(BUSINESS WIRE)--– 20220年5月17日– ロボットの利用は、国連が定める持続可能な開発目標(17の SDGs)の達成において重要な役割を果たします。国際ロボット連盟(International Federation of Robotics)は、ロボットがより良い地球を創造する上で貢献することのできる13の SDGs を特定しています。

「ロボットの使用は、国連の行動の呼びかけに呼応するものです」、と国際ロボット連盟(IFR)会長の Milton Guerry は言います。「IFR は国連の持続可能な開発目標をサポートします。ロボットが資源の利用を節減し、未来のグリーンテクノロジーを生み出すのを実現する、斬新で非常に素晴らしい用途が存在します」。

「持続可能な資源の活用を目標とするトランスフォーメーションは、ロボット工学とオートメーションが鍵のテクノロジーに他なりません」、と国際ロボット連盟の事務局長を務める Dr Susanne Bieller は言います。「インテリジェントなオートメーションは生産コストを削減します。つまり、バッテリーのテクノロジーが e-モビリティなどのブレークスルーを実現し、化石エネルギーの代替としての水素駆動型電池の生産の推進を後押しします。同時に、きわめて効率的な生産テクノロジーが CO排出量を削減します」。

クリーンエネルギー、産業革新および持続的農業の3つは、ロボットを活用することで、こうした国連の持続可能な開発目標の達成にどのように寄与するかを裏付ける事例の一部に過ぎません。

「電気が未来のエネルギー源である(Electricity is the fuel of the future)」 \- クリーンエネルギー(国連の SDG 7)

化石燃料からの方向転換に伴い、電気が未来のエネルギーとなります。国際エネルギー機関(International Energy Agency)は、太陽電池パネルが、2050年までに世界の総電気需要の約1/3を満たすことになると予測しています。太陽電池パネルに対する、現在の増え続ける需要がこのペースで進むと、今以上の発電ユニットの大量生産が可能になるでしょう。

産業用ロボットは、現在、スウェーデンのオートメーション化された工場生産の一環として採用されています。太陽集熱器メーカーの Absolicon は、エネルギー源としての太陽光発電の広範な導入にあたってのゲームチェンジャーになると考えられるものを開発してきました。それは放物面鏡(パラボラ反射鏡)で、太陽放射を吸熱器に集め、最大160℃ の温度の蒸気に変換することで、工業生産での用途が可能になります。ほぼすべての産業が製造プロセス用の熱利用を必要としています。太陽集熱器の排出節減面のポテンシャルとは、太陽熱集熱器1平方メートルあたり、100リットルの石油に匹敵するエネルギーを生成できることです。

ヘルネサンド(Härnösand)にある Absolicon 工場では、2台の ABB ロボットを使ったオートメーションで生産規模が劇的に改善されました。同社はかつて、手作業で1日に3台の太陽集熱器を製造していましたが、新たに導入されたロボット生産ラインでは、現在、わずか6分で集熱器を1台製造することが可能となっています。

「修理を意識した実践(Prepare-to-repair)」 \- 産業革新(国連の SDG 9)

修理を意識した実践(Prepare-to-repair)は、ロボットメーカーとその顧客がコストや資源を節減する上での効果的な戦略です。すなわち、ロボットの平均耐用年数が最長30年という事実を念頭に入れたものです。将来の故障等のリスクを軽減する目的で採用するパーツをより少なくすることは、このアプローチの第1歩です。顧客に長期的な修理を提案する上で、パーツの保管は課題です。大量のスペアパーツを在庫として維持するために、たとえば、日本のロボットメーカーであるファナックは、欧州向けに中央倉庫を運営しています。これはルクセンブルクにあり、サッカー場規模の大きさを誇り、600,000ものスペアパーツが保管されています。

機械のダウンタイムが1時間増えるたびに顧客に金銭的な負担がもたらされることから、製造部門が問題のある機械の返品を受けて新しい機械を出荷するのではなくむしろ、顧客の元へスペアパーツを運搬し、現地で機械の修理を行う方が、大概において、資源効率が高いのです。ファナック、KUKA、安川電機といったメーカーは、修理に特化したセンターを運営しており、そこでは、何千台もの工業用ロボットが修理調整や改良を施され、新たに生まれ変わっています。

「ロボットは化学物質を排除します」 \- スマート農業(国連の SDG 2)

農業においては、新たなフィールドロボットが化学物質の使用を排除します。こうした農業用ロボットは、農作物の間をゆっくりと上り下りしながら移動します。カメラと AI ソフトウェアが搭載されたこうしたロボットは、雑草の場所を特定すると、レーザーショットでその場所を選択的に燃やします。新しいテクノロジーによって、除草剤の使用が完全に不要となるだけではありません。有機農家たちは、現在、除草にあたってプロパントーチを使用した「フレーミング(flaming)」と呼ばれる、代替の関連プロセスを用いています。フレーミングは、作物を植える前にのみ行いますが、そうでないと、作物を台無しにしてしまうからです。

Fraunhofer EZRT リサーチセンターおよびパートナーたちは、雑草防除のナビゲーションテクノロジーを搭載した農業用ロボットをテンサイ(砂糖大根)向けに導入しました。また BlueBob 2.0 は、自律的に作業を行うことから、農業従事者たちは、手作業や化学薬品による除草以上に付加価値の高い作業に時間を費やせるようになりました。手作業による除草は人間にとって非常に退屈な作業であるため、新しいテクノロジーは農作業環境の改善にも役立っています。汚く、単調で危険な作業を引き受けるのは、ロボットが得意とする領域です。

その他の事例 – ロボットがどのように国連の SDG 支援に寄与するか

ロボットがどのように国連の持続可能な開発目標に取り組んでいるかについてのその他の事例については、国際ロボット連盟(press@ifr.org)にご連絡ください。

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