「ぷにぷに」カスミサンショウウオ 平戸で観察会 長崎県の絶滅危惧Ⅱ類

参加者が見つけたカスミサンショウウオ

 長崎県レッドリスト2022で絶滅リスクが増している「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されるカスミサンショウウオの観察会が、平戸市の安満岳(536メートル)の山頂に近い池であった。池は県内で最大規模の産卵場所となっており、約50人が希少生物の生態に触れた。
 1日の観察会は同市の市民団体、中野地区まちづくり運営協議会主催。案内役は両生類や爬虫(はちゅう)類に詳しい松尾公則長崎女子短大特別専任教授(71)が務めた。
 カスミサンショウウオは体長10~15センチ。県内全域で見られる。昼間は湿った落ち葉や土の中に生息。産卵時に水場で確認できる。
 参加者は、池のほとりでカスミサンショウウオの個体やゼリー状物質に覆われた卵を見つけ歓声。佐世保市江迎町から両親と参加した同市立猪調小5年生の早田凜さん(10)は「かわいかった。体も卵もぷにぷにしていた」と満足そうに話した。

産卵場になっている池で観察する参加者=平戸市、安満岳

 同協議会によると、池の周辺は近年、管理が行き届かずに土砂などで埋まりそうになっている。松尾教授は「県内各地で観察してきたが、これだけ多くの産卵が見られる場所はほかにない。池の環境を守ってほしい」と呼びかけた。
 安満岳は世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産。観察会は、希少生物も見られる山の自然を後世にどう引き継げばいいか、専門家の知見に触れようと同協議会が初めて企画した。


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