建物の段差「真心」で解消 「心のバリアフリーステッカー」活動が始動

 建物がバリアフリーでなくても、ゆいまーるの心でそのバリアーを解消しようと「心のバリアフリーステッカー」プロジェクトが始動した。沖縄県内在住の理学療法士の島袋みちるさん(35)が中心となり、4月から本格的に活動を始めた。まずは県内100店舗を目指し、ステッカーを無償で提供する。島袋さんは「膨大な費用をかけなくても段差は周りの手伝いで越えられる。最終的にはステッカーのいらない社会が理想。まずは心のバリアフリーを“見える化”したい」と意気込む。

 心のバリアフリーステッカーは脳卒中の当事者会を通じ、島袋さんが知り合った関東在住の当事者から、無償で提供を受ける。県内での賛同店は6日時点で8店舗。全国で取り組まれており、愛媛県内では約300店舗が参加しているという。

 脳卒中は治療してもまひなどの後遺症をもたらすことが少なくなく、車いすを利用する人もいる。島袋さんは脳卒中当事者が「迷惑をかけるから」と外出をためらい、閉じこもる姿を見てきた。「体が良くなっても心の健康と社会とのつながりの二つがなければ、回復にはつながらない。ステッカーは心の面での障壁を越える手段になる」と期待を示す。

 昨年、沖縄に移住した車いすトラベラーの三代達也さん(33)=茨城県日立市出身=もプロジェクトメンバーの一員。東京のクラブなどでは「他の客に危ないから」と入店を断られたこともあるが、沖縄では車いすを理由に入店を断られたことはないという。

 県内1店舗目は、沖縄市のカフェ映画館「シアタードーナツ・オキナワ」。オーナーの宮島真一さんによると、2019年の改装の際に1階をバリアフリー化した。ただ、店の入り口に少し段差がある。宮島さんは「積極的に声をかけて手伝いたい。みんなの映画館。障がいのあるなしにかかわらず、映画を見てもらいたい」と話し、ステッカー普及プロジェクトに共感を寄せる。

 ステッカーの問い合わせは島袋さん、メールアドレスはmichi.selfish@gmail.comで、インスタグラムのアカウントは@okinawacocoronobarrierfree

 (中村万里子)

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