【医療用医薬品供給状況データベース(DSJP)】情報提供の状況に「不満」多く/ユーザーアンケートで明らかに

【2022.05.18配信】医療用医薬品供給状況データベース(略称DSJP=Drug Shortage.jp)がこのほどユーザーを対象に行ったアンケート調査で、いまだ薬局薬剤師が製薬企業などによる情報公開の状況に関して不満を抱いていることが明らかになった。情報公開のスピードやWEBサイトで供給情報までたどり着けないことなどへの指摘が寄せられている。DSJPは、ジェネリック医薬品の供給不安の状況を受けて、出荷調整や出荷停止などの医薬品供給状況を登録しているデータベース。

「製薬企業の対応に不満はある」72.8%/「情報までたどり着けない」

アンケート調査は2022年3月19日~3月31日にDSJPが行った。DSJPはボランティの薬剤師有志が情報を集めサイトで公開しているもの(http://drugshortage.jp/)。

「医薬品供給問題についてのアンケート」に793件、「出荷調整による影響についてのアンケート」に386件の回答があった。回答者の所属は薬局薬剤師が68.2%、病院等医療機関薬剤師が10.7%など。

「製薬企業の対応に不満はありますか」との問いには「ある」との回答が72.8%と多数を占めた。
不満の内容は「情報公開が遅い」「医療機関、医師への情報提供がされていない」「告知のフォーマットが定められていない」「WEBページが見づらく、情報までたどり着けない」「情報提供が公平ではない」「PDFで公開されると、再度エクセルに入力し直す必要がある」「サイレント出荷調整がある(出荷調整になっているのに情報を公開していない)」「紙媒体の情報がWEBに載っていない」「社員が自社の状況を知らされていない」など。

DSJPの代表者「現場の生の意見をご理解いただければ」

DSJPの代表者は今回のアンケートについて、「アンケートを通して特段何か強く意見表明することは考えていない」と話す。「これが現場の生の意見であり、事実である、ということを各方面に理解していただければと思っております」(DSJP代表者)とする。

ただ、医療用医薬品の供給が不安定化してから1年以上が経つ。この間、供給が滞った医薬品をすぐに増産することは難しいにしても、情報提供のあり方を見直すことはできたのではないだろうか。回答にあるように「情報のありか」や「公表タイミング」「広い周知」などを製薬企業で実践することはできないのだろうか。企業によってホームページでの掲載場所が分かりづらかったり、得意先に限定しての情報提供などの実態を指摘する声がある。

もちろん、業界団体や各メーカーで施策向上はしているものの、網羅的かどうかについては、強制力がないためどうしても各社の意欲に左右されてしまっているのが実態といえそうだ。DSJPの利用頻度の質問でも「毎日」21.1%、「2、3日に一度」31.0%、「1週間に一度」24.7%、「月に一度」10.21%などとボランティアによるDSJPが頼られている状況もうかがえる。

徐々に回復基調にあるとされる医療用医薬品の供給問題。しかし、教訓を生かして改善しておくべき課題は残されてはいないか。DSJPのアンケートは改めて関係者すべてに問いかけている。

なお、今回のアンケートはそのほかにも卸企業や行政・政治団体・医療機関への要望や在庫品目の選定基準などについても聞いている。DSJPのホームページ上部にて詳細を掲載している。アンケート結果についてはDSJPより誰でも閲覧が可能。

DSJPでは今後、継続性の確保に向けて、関係者との連携を強めていく方針。

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