着ない制服、必要な人へ 長与のクリーニング店 東北の被災者支援し続ける

学生服などのリユース活動を長年続ける洗濯工房の舩橋宏栄さん=長与町、洗濯工房2号店

 長崎県西彼長与町高田郷で舩橋英雄さん(53)、宏栄さん(53)夫妻が営むクリーニング店「洗濯工房」は、もう着なくなった学生服など学校の制服を無料で預かり、必要な人へ渡すリユース活動を13年ほど前から続けている。クリーニング代相当額を東日本大震災被災者の就学支援に充てており、総額は160万円を超えた。町のクリーニング店から善意の輪が広がっている。
 「どなたか使う方がいらっしゃれば」-。きっかけは幼稚園の制服一式を持ち込んできたお客のひと言。丁寧にクリーニングをした制服を無償譲渡する取り組みは、口コミで地域に広がった。扱う種類も中、高校の制服や学校指定のシャツ、コート、かばんなどにまで増えた。
 数年しか使わない制服だが、新品でそろえると数万円はする。洗い替え用、在学中に大きくなった、経済的な余裕がなく…と理由はさまざま。持って帰るときの「助かります」の声が励みだ。利用者は延べ600人を超えた。

洗濯工房2号店の奥に並ぶクリーニング済みの学生服=長与町


 取り組みの大きな転機は、2011年3月の東日本大震災。その年の1月、洗濯工房は同じ郷内に2号店を開店するなど、経営は軌道に乗っていた。直後の大災害に「遠く長崎からでも何かできることはないか」と考えた夫妻は、制服が必要な人からクリーニング代相当額の支払いをお願いするようになった。
 受け取った全額は、日本ユネスコ協会連盟の東日本大震災子ども支援に募金している。金額は特に決めてはいないが、1着500円程度。それでも利用者の理解や支持を得て、寄付総額は今年3月11日で163万7791円に達した。「たくさんの人に賛同いただきここまでの金額になった。長与から東北まで、支援が広がっていくことがうれしい」と宏栄さんは語る。
 リユース活動の中心に据えた2号店の奥には、預かった制服やシャツなど500点以上が並ぶ。クリーニングの経費は店の負担。預かれば預かるだけ赤字だが「人と人をつなげる場となればという思い。やれるだけ続けていきたい」と考えている。
 同店ホームページ(HP)に、在庫管理表を掲載中。問い合わせはHPから。


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