ミライトHD、2022年3月期は過去最高益 - 2030年見据えた事業ビジョン発表

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6期連続で増収増益、営業利益率は7%台に

ミライト・ホールディングス(ミライトHD)は5月17日、2022年3月期(2021年4月1日~2022年3月31日)の通期決算と事業戦略に関するメディア向け説明会を開催した。6期連続の増収増益となり、2022年3月期の売上高は前期比1.4%増の4703億円、営業利益は同比8.9%増の328億円となった。

ミライト・ホールディングスの売上高の推移(2019年3月期~2022年3月期)

高度無線環境整備事業を含む「NTT事業」や、大手通信キャリアによる5G(第5世代移動通信システム)の基地局工事の需要増が追い風となった「キャリア事業」の好調さが、今期の売上増につながった。

ミライト・ホールディングス 代表取締役社長 中山俊樹氏は、「営業利益率は念願の7%を達成できた。相対的に粗利率の高い事業が売上増に寄与した面はもちろんあるが、地道に取り組んできた利益率の改善が大きい。この数年間、全社を挙げて生産性の向上に取り組んできており、着実に実を結んでいる。基幹システムの更改や西武建設の買収など、一時的なコスト増となったが、引き続き、販管費の改善努力は進めている」と説明した。

受注高については、期中の上方修正計画を下回る結果となったが、2022年1月に買収が発表された西武建設の連結による繰越受注高が加わり、5213億円(同比9.8%増)となった。ミライトHD(除く西武建設)の受注高が減少した背景には、下期以降に大手通信キャリアの投資抑制や半導体不足などによりサプライチェーンに影響が出たことにより、市場の投資マインドが低下したことが挙げられるという。

「MIRAIT ONE Group Vision 2030」の下、成長に向けた基盤づくり

ミライトHDは、2022年7月に連結子会社のミライト、ミライト・テクノロジーズと統合し、新会社「ミライト・ワン」を設立。グループ会社6社とともに「ミライト・ワン グループ」として新たな事業体制をスタートさせる。

中山氏は、「これまで、通信設備建設会社を超える企業となるべく、『超・通建』を掲げて事業改革を進めてきた。過去10年で売り上げは2倍になり、利益率も改善できたが、業界内ではまだ中位クラスだと認識している。また、事業の通建依存率は高いままだ。次の10年の成長に向けた基盤づくりのために、今回3社統合を決定した」と述べた。

新グループ体制では、2030年に向けた新たな事業ビジョン「MIRAIT ONE Group Vision 2030」の下、成長分野の再定義やグループのリソース集中、重複業務の見直しなどによるコスト効率の向上を図る。また、経営基盤となる人材、ガバナンス、ブランド力などを強化し、成長領域拡大に向けてグループ連携を推進させるという。

ビジョン達成に向けて、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)は、受注高5400億円、売上高5400億円、営業利益300億円の計画だ。営業利益については、2022年3月期の売上増に貢献した高度無線環境整備事業やモバイル事業など収益性の高い事業が減少するほか、3社統合の一過性の費用もかかるため減益の計画となる。

成長分野「みらいドメイン」で、フルバリュー型モデルのビジネス展開

新たな事業ビジョンの下、今後は「人間中心経営」「事業成長加速」「利益生トップクラス」「データインサイト マネジメント経営」「ESG経営基盤強化」の5つの事業変革を進める。

人間中心経営では、人材育成の強化と働き方改革を進める。2022年7月には、スキル向上のための学びの場を提供するとともに外部人材との交流の促進を目的とした「みらいカレッジ」を開学し、1万人規模でスタートさせる。グループ内の社員同士のつながりを持たせて、内部人材の戦略的に強化し、外部人材の積極登用にも生かすという。

また、ワーク・ライフ・スタイル改革の名の下で、2022年7月には健康経営宣言と人権基本方針、同年11月にはスマートワーク・ライフ宣言やダイバーシティ&インクルージョン宣言を策定し、働き方やすい環境づくりを進める。

事業成長加速では、グループにとっての4つの成長分野を「みらいドメイン」と名付け、注力する事業を再定義。個別の発注に単一施工で対応していた、従来の総合エンジニアリング&サービス型のビジネスモデルから、企画提案から運用保守までをカバーしマルチエンジニアリングサービスを提供する「フルバリュー型モデル」への転換を図る。

4つの成長分野のうち、「街づくり・里づくり/企業DX・GX事業」では、スマートゼネコンを目標にフルバリュー型の提案を進めつつ、建築・土木のソリューションを強化する。同事業では、2026年度に売上高300億円を目指す。

「グリーン発電事業」では、従来、用地取得、開発、建設の領域に強みを持っていたが、販売の領域にも注力する。ハイクオリティ・ローコストなグリーン発電事業を展開すべく、今後は発電設備のほか、新たにFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)や卸電力などグリーン発電の分野にも進出する。

SI事業の新会社設立、通信インフラの仮想化や企業のDX支援に取り組む

「ソフトウェア事業」では、2022年7月にグループのシステムインテグレーション部門を統合した新会社「ミライト・ワン・システムズ」を設立し、ソフトウェアビジネスや通信インフラの仮想化、ICT技術を活用した企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援などの事業に取り組む。同事業では、2026年度に売上高500億円を目指す。

中山氏は、「通信インフラの仮想化が進む中で、ハードウェアのエンジニアが多い当社にとって、人材育成を含めてやるべきことは多いと認識している。今後の対応が問われててくる中で、ミライト・ワン・システムズは事業拡大の核となる。通信インフラ事業で長年培った技術やノウハウを生かした、通建ならではのシステム開発サービスを提供していきたい」と語った。

「グローバル事業」では、アジア太平洋地域におけるデータセンター、通信タワー事業を中心に事業を拡大していく計画だ。現在、データセンターのグリーン化事業なども検討している。中国含めてアジアで先行し、ニーズに合わせて日本でも展開するという。

利益生トップクラスに向けては、業務運営の抜本的な見直しとデータインサイトを活用したバリューチェーン改革を進める。キャリアごとの業務オペレーションや協力会社とのデータのやりとり方法などを統一化するほか、社内システムの刷新により業務効率化と既存コストの見直しも進める。

データインサイト マネジメントでは、データ分析/連携のための基盤整備や顧客データベースの高度化などの「攻めのDX」と、カメラや点群データを活用したスマート施工モデルの採用やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)活用などの「守りのDX」を実施し、社内のDX人材の育成も行う。2026年度には、DXの企画・推進を担うコア人材を2000名規模で育成する予定だ。

ESG経営基盤強化では、2050年までに自社の温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ実現を目指すほか、パートナー企業と社会的な価値創出を目指す「ミライト・ワン パートナー会」の設立や、ミライト・ワンを監査等委員会設置会社に移行するなどのガバナンス強化も行う。

併せて、2026年度を目標とした新中期経営計画(第5次中期経営計画)も発表された。売上高7200億円超、営業利益率7.5%超を目標に据え、成長分野(みらいドメイン)からの収益比率を40%以上にまで高める計画だ。