着物や帯 四季映す繊細な手仕事 岡山で日本伝統工芸染織展開幕

多彩な染めや織りの優品が並ぶ会場

 染め物や織物の実力作家が集う公募展「第56回日本伝統工芸染織展」(日本工芸会、山陽新聞社など主催)の岡山会場が18日、岡山市北区表町、天満屋岡山店6階葦川(いせん)会館で開幕した。繊細な手仕事で四季折々の風景を映した優品が、ファンらを魅了している。

 新型コロナウイルス禍により、岡山での展示は3年ぶり。受賞・入選者と、友禅、紬(つむぎ)織、江戸小紋などの重要無形文化財保持者(人間国宝)らの着物や帯、和装品計72点を展覧する。

 能の演目に登場する四角い井戸からイメージを膨らませたという足立真実さん(金沢市)の「紬織着物『筒井筒』」=文部科学大臣賞、黄と白の波打つしまが春の陽気を漂わせる沖本道子さん(広島市)の「絞り染着物『春光』」=山陽新聞社賞=など受賞作は注目の的。入場者は作品に顔を近づけ、微妙な色合いの変化や細かな柄までじっくりと見入っていた。

 総社市、会社員の女性(67)は「地域の特色や伝統、作家の感性を生かした表現は多彩。藍地の久留米絣(がすり)着物は満天の星を見ているようで、温かな気持ちになりました」と話した。

 23日まで。入場無料。

© 株式会社山陽新聞社