給付型奨学金の対象拡大へ…奨学金を利用したZ世代が語るリアルな思いとは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。5月11日(水)放送の「ニュースFLASH」のコーナーでは、“給付型奨学金の対象拡大”について議論しました。

◆給付型の拡充、さらには出世払い型の奨学金も検討

返済不要の給付型奨学金などで低所得層の大学生らを援助する「高等教育の修学支援制度」について、政府の教育未来創造会議は、中間層の理工系学生や多子世帯に対象を拡大することを柱とする提言をまとめました。

また、援助が必要な大学院生の学費を徴収せず、就職後に一定の年収に達してから納付する「出世払い」方式の新制度の設立も提唱。

会議の議長を務めた岸田首相は、「人への投資を通じた成長と分配の好循環を教育においても実現することは喫緊の課題」と述べています。

◆対象拡大に、Z世代の見解・提言は?

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、財源の問題はあるものの「本来目指しているのは誰もが学費の負担がなく、自分がしたい選択ができるほうがいい」と願望を語り、「そういう意味では、この制度がもっと広がればいい」と評価。

一方で、「今回の提言の内容が本当に、今の少子化や(生活の)厳しさを解決するものなのかと言われると、もう少し早いスピードでいろいろ変えてほしい」と切望します。

アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは、給付型奨学金に対し、誰もが同じ金額を受け取れる"水平的な平等”の拡充だけでなく、年収に違いがあっても同じ金額でいいのかという"垂直的な平等”の課題を示唆。その上で、給付型奨学金に加え、「生活保護世帯への進学サポートの拡充を」と主張します。

阿部さんによると、生活保護を受けている世帯の進学率は特に低く、一般的な高等教育の進学率は平均7割を超えるのに、生活保護世帯に限ると3割台。また、都道府県による格差も大きく「(年収が)低い世帯は給付型奨学金の額を上げるなど、段階的な設計が必要」と訴えます。

在学中に貸与型の奨学金を受け、現在返済の真っ只中という「東京新聞」経済部記者の大島晃平さんは、学費の補助の重要性を理解しつつ、その一方で「大学の学費、高すぎでは」と問題点を示しました。

特に都内の私立大学は都心回帰の傾向が強く、「私のイメージかもしれないが、都心のいい場所に綺麗でかっこいい校舎をどんどん建てている」と指摘。大島さんも都内の私立大学出身で、在学時には新しい図書館が建てられ、そこにはイルミネーションもあったそう。「確かにそれも学生を呼び込むために必要なのかもしれないが……」と理解しつつも、毎月支払っている奨学金の返済が「一体何に使われているのだろうか」と疑問を呈しました。

一般的な大学の財源は受験料の収入が数億円。それに学費に加え、また別に入学金もかかるため、大島さんは「それはどうにかならないのか」と訴えます。

そんな大島さんの意見に能條さんも同意しつつ、私立大学に限らず国立大学の学費も上がっているなか、「国の補助が減り、(国が)稼げる大学にしてくださいという、その方針が変わらないときつい」と現状を危惧。

大島さんも「教育にお金をかけることは大事だが、それを学生から取るべきではない。もっと国の補助が必要」とさらなる行政のサポートを願っていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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