長崎をスマートシティーに 「デジタル田園都市」フォーラム開催

スマートシティー実現に向け意見交換したパネル討論=長崎市出島町、県美術館ホール

 長崎県での「デジタル田園都市」実現に向け、IT事業者らが意見を交わすフォーラムが18日、長崎市内であった。耕作放棄地や離島半島を多く抱える本県を「社会課題先進地」と捉え、農業・交通分野を中心にスマートシティーを目指す意義や将来性の高さを指摘する声が上がった。
 スマートシティーは先端技術を使って環境に配慮しながら快適に暮らせる次世代都市。世界各地で取り組みが加速し、岸田政権も地方活性化策として「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、これを推進している。
 同フォーラムを主催したのは一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会(MCSCC、東京)。島根県益田市や長崎市など国内外15カ所で、自治体や企業と協力しスマートシティー実現を目指している。
 平井卓也前デジタル相とデジタル庁戦略・組織グループ次長がビデオ出演した。半導体の専門家、豊﨑禎久MCSCC代表理事=長崎市出身=は基調講演で「縮退する地方こそ社会課題を抽出しやすい」と強調し、益田市の道路パトロール車で路面損傷を自動計測・診断する「スマート道路モニタリング」など実践例を紹介。急成長するインドネシア・バリ島を「有望市場」と見据え活動していることから、本県との連携を提言した。
 パネル討論では、スマート農業として、アドミン(長崎市)が田畑の遠隔管理などを実証中の「ルートヴィレッジ」構想と、日本アグテック合同会社(同)による鳥獣被害対策のIoT電気柵を紹介した。
 ITを活用して多様な交通手段を一体的に提供する次世代サービスMaaS(マース)も議題にした。MCSCCと連携する「空飛ぶ車」「電動三輪モビリティ」「スマート水運」の各企業が事業展開を説明。これを受け豊﨑氏は「交通インフラをいかにシームレスにつなぐかが大事。日本初の仕組みを長崎でつくり、世界に打って出たい」と意欲を語った。


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