本当は教えたくない福岡物件「100万円ポッキリのなにか宿って荘」

「空き家ポリスの本当は教えたくない福岡物件」。「住む予定もないのに、おもしろそうな物件を探して見に行く」ことを趣味とする空き家マニアが、福岡の空き家物件を紹介していきます。 第15回は、「なにか宿って荘」です。

今回お縄になったのは、全国区のお茶の産地・八女にある空き家。
福岡県八女市100万円/古家付き/土地214‪㎡ のこちら。

ご覧の通り、渋い2階建ての古民家なんだけど、こんな旧家が普通に残っていて、しかも100万円ポッキリで買えちゃう八女の底力に驚きを禁じ得ない。

玄関は、2間(けん)つづきのガラガラ引き戸だから、おそらく元は商店だったはず。
だとすれば入ってすぐに土間があるはずで、一周まわった土間ブームが再来している今なら、鼻たかだかで周りに自慢できそう。

家の奥行きはかなり深め。おそらく1階手前がお店、1階奥と2階は住居になった町屋仕様と思われるので、職住近接の暮らしを実践したい。

見たところそれほど傷みも無さそうだし、あとは後付けっぽい右側の小屋を崩せば、光と風が取り戻せそうです。
めでたしめでたし・・・となりそうだけど、なりません。

理由は、これ。

この小屋の側面にある看板群だ。

地方だとよく見る看板なので、「あぁ、例のあれね!」で済ませる方が多いと思うのだが、世の中には看板コレクターが多数いて、特にマルフクなんて専門サイト (https://029.every-little.com/) を作ってるマニアすらいる。

一応解説しておくと、上から、

1)マルフク
NTTの電話加入権を担保にお金を貸してくれる消費者金融。全国をくまなく席巻していたが現在は廃業。

2)大木切ります!
文字通り、大木を切ってくれる「おおつかガーデンサービス」の看板。田舎に行くと必ず見るので全国区と思いきや、営業エリアは九州北部のみ(福岡県・熊本県・佐賀県・長崎県・大分県・山口県)。九州外の人には話が通じないので要注意。本社は福岡県嘉麻市。

3)樹木伐採
近年勢力を拡大している「高栁商会(たかやなぎしょうかい)」の看板。大木切ります看板とSETで見かけることが多い。本社は佐賀県みやき町。

ということで、九州の御三家が揃い踏みしたこの壁は是非とも残したいところ。
願わくば、このコレクションにキリスト看板(http://1010meguri.blog.fc2.com/blog-entry-234.html)とかいろいろ加えて、看板祭りで町の名物へと発展させるのが吉。

そんなマニアックな方面だけでなく、この物件の本質的な魅力はロケーションのすごさ。
なんと、目の前に天然記念物が鎮座しているのだ。

道を挟んで反対側にあるのが、天然記念物の「山内のチシャノキ」。

「え?こんな道ばたに??」と思うけど、県が指定する正真正銘の天然記念物(https://www.city.yame.fukuoka.jp/soshiki/4/6/31/4/1454651794474.html)
だし、樹齢はなんと600年で県内最大級の大きさだというし、毎日この木を拝んでいるだけでご利益がありそう。

そして極め付けは、これ。

実はここ、神社の参道沿いなのだ。

偶然なのか意図的なのかは分からないけど、ちょうど左右を守る狛犬のように配置されたこの家は、神のおぼしめしのような気がしております。

ということで、間違いなくありがたい立地に建つこの物件、運気が下がり気味な紳士淑女のみなさま、この機会におひとついかがでしょうか。

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福岡県八女市100万円/古家付き/土地214‪㎡

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