赤鮮やか 湿地彩る小さな命 総社にハッチョウトンボ

羽を休めるハッチョウトンボ=19日

 豊かな自然が残る総社市福井のヒイゴ池湿地で、世界最小クラスのトンボ・ハッチョウトンボが飛び始めた。5、6月が最盛期で、7月いっぱい見ることができるという。

 体長2センチ前後と1円玉にすっぽり隠れるサイズ。開発による生育環境の減少で、岡山県のレッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定されている。

 雄は成熟すると真っ赤に色づき、草に止まって雌が近づくのを待つ。地元の自然保護団体・北の吉備路保全協会によると、今年は例年になく数が多く、雄同士が追いかけ合って“縄張り争い”をする場面も。

 環境省レッドリストで準絶滅危惧種のトキソウの花も見ごろを迎え、同協会の萱原潤会長(69)は「湿地が一番華やかな季節。小さな命の営みをそっと見守ってほしい」と話す。

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