パワハラで懲戒処分 和歌山県警、署員自殺で当時の署長と副署長

 和歌山北署の40代男性署員が3月に自殺した事案を巡り、県警は18日、この署員にパワハラをしていたとして、当時北署長だった警務部付の警視(59)を停職6カ月の懲戒処分とし、男性署員が精神的不安定になっているのに放置したなどとして当時副署長だった科学捜査研究所副所長の警視(55)を減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にした。2人とも同日付で依願退職した。

 県警によると、署員は3月1日午前、庁舎内で自傷行為し、病院に搬送されたが、3日未明に亡くなった。これを受け、県警が調査したところ、元署長から昨年10月~今年3月に他者の面前で能力を否定するなどのパワハラを受けていたことが分かった。

 元署長が幹部会の席上、署員に対し「幼稚な問題が多い。他の課と交代して、皆に見てもらえばいい」と述べたほか、署員が自殺を図った3月1日には署長室で「おまえは皆からうそつきと言われているぞ」と話したという。

 遺書はなかったが、署員の机の引き出しから、業務内容や心情などをつづったノート3冊が見つかったといい、県警は元署長のパワハラが署員の自殺の要因の一つになったことは否定できないとした。

 県警の聞き取りに元署長は「不適切だったと言われれば返す言葉もない。配慮が足りなかったと反省している。職を辞して責任を取る」と話したという。

 一方、元副署長は署員の部下から「ふさぎ込んでいることがある」と報告を受けていたのに、適切な対応を取らなかったという。

 このほか県警は、元署長が別の署員に「実績がないなら今の仕事を降りろ」と怒鳴りつけたほか、元副署長が署員3人に「報告もようせんのか。能力がないなら辞めてしまえ」「警察官をなめてんのか」などと言ったこともパワハラに認定した。

 的場克郎首席監察官は「警察職員の自殺事案が発生したことは組織として痛恨の極みであり、亡くなられた職員のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族ならびに県民の皆さまに深くおわび申し上げる」とし、信頼回復に努めるというコメントを出した。

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