「漆黒」の天守閣 初夏の空に映え 岡山城、足場撤去で雄姿出現

「令和の大改修」のために設置された足場やシートの撤去が進む岡山城天守閣。北側の後楽園につながる月見橋から(左上から時計回りに)4月20、21、25、28日、5月6、10、18日に撮影

 「令和の大改修」のため岡山城天守閣(岡山市北区丸の内)を囲っていた工事用の足場やシートの大部分が撤去され、北側の後楽園方面や西側の石山公園(同石関町)方面からは雄姿を眺められるようになった。岡山空襲(1945年)で焼失する前の城壁色を再現したという「漆黒」が初夏の空にくっきりと映える。

 撤去作業は天守閣の北、東、西面で4月21日に始まった。3層6重(高さ約20メートル)をすっぽり覆っていたグレーのシートを上方から下方へと剥がした後、足場も順次解体。一連の作業は今月16日でほぼ終えたという。

 「覆いが早く取れないかと心待ちにしていた。壁の黒が鮮やか。本当にきれいですね」とは毎日、夫婦で岡山城周辺を散歩するという男性(80)=岡山市中区。

 城壁に採用した漆黒は城の別名「烏城」の由来とされるが、色について記した史料は乏しく、再現は難航。同じ黒塗りの国宝・松本城(長野県)や熊本城(熊本県)を市職員が視察し、試し塗りなどを経て厳選した。

 市によると、大改修は昨年6月から天守閣を休館に、同7月からは天守閣のある烏城公園全体を通行禁止にして始まった。今年6月中旬には県庁側となる南面でも足場やシートの撤去に着手し、同月末に終える見込み。天守閣は内部も全面刷新しており、11月3日に再オープンする。

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