鐵隼(テツブサ)をデビューさせた加賀山就臣がレースを盛り上げた/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 2018年からオリジナルのスズキKATANA 1000Rでテイスト・オブ・ツクバ(T.O.T)に参戦しているTeam KAGAYAMAの加賀山就臣。先日、全日本ロードレース選手権JSB1000クラスへのフル参戦からの引退を表明したが、こちらは、まだまだ現役。

 昨年、秋のKAGURADUKI STAGEでは、コースレコードを出し、優勝を飾ったこともあり3号機まで製作したKATANA 1000Rのプロジェクトは終了。今回のSATSUKI STAGEには、スズキGSX1300R 隼を模したマシン、鐵隼(テツブサ)で新たに参戦した。

加賀山就臣(Team KAGAYAMA)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 T.O.Tの最高峰クラスであるHURCULES(ハーキュリーズ)のレギュレーションにのっとり、野口裕一メカニックが鋼管パイプを手曲げして鉄フレームを製作し、1型隼エンジンを搭載。スイングアームはGSX-R1000のものを使用し、カウルもエンジンが露呈していないといけないためカット。

 ヨシムラに特注のエキゾーストを作ってもらいオイルクーラーを設置するクリアランスを確保。サイレンサーはR11So-Rという、隼用にラインナップされていないものだけに真新しい。アルミタンクは3型用に製作したオリジナル。3型のガソリンタンクは19リットルに減ってしまったため、26リットルのものを作り市販予定。ストリートにもフィードバックしていく。

加賀山就臣(Team KAGAYAMA)の鐵隼(テツブサ)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 加賀山がライディングとアイディアを、齊藤雅彦チーフメカニックが技術的設計を、野口メカニックが工作、製作、デザインを担当し、4月末には何とか形になっていたが、ここで野口メカニックが腸閉塞で1週間入院してしまう。5月6日の走行会でシェイクダウンを行ったが、野口メカニックの姿はなかったが、病院から這い上がってカラーリングを行ってレースウイークを迎えていた。

鐵隼(テツブサ)を走らせる加賀山就臣(Team KAGAYAMA)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 予選は58秒台に入れて3番手。決勝では、普段は得意としているスタートが決まらず加賀山は、3番手で1コーナーに入っていく。スタンダードエンジンとはいえ1300ccも排気量があるとトルクがあり難しかったそうだ。2周目には、トップを走る光元康次郞に新庄雅浩が仕掛け、光元が失速したすきをついて加賀山が2番手に浮上。その直後に第2ヘアピンで山根光宏が転倒したため赤旗中断となる。

 残り10周で再スタートが切られると、2度目のスタートはうまく決まり加賀山がホールショットを奪う。しかし、直後のバックストレートでカワサキH2Rのスーパーチャージャーパワー生かし光元があっさり前に出ていく。昨年のKATANA 1000Rでは、57秒台をマークしていただけに、レベルの高い仕上がりだったと言えるだろう。

鐵隼(テツブサ)を走らせる加賀山就臣(Team KAGAYAMA)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 光元は、今回からOVER製スイングアームを投入し、いい手応えがあったという。ライバルも進化している。光元は一気にペースを上げると、ここで約1秒のリードを築く。結局、この差を詰めることができず光元がトップでゴール。加賀山は2位。3位には、新庄とのバトルを制した岩崎朗が入っている。

光元康次郎、新庄雅浩、加賀山就臣/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE
テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE HURCULES(ハーキュリーズ)の表彰式

 加賀山は「ストレートであっさり抜かれてしまいましたが、T.O.Tのレベルの高さをあらためて思い知らされました。エンジンを強化してH2Rをストレートで抜けたらかっこいいよね。テイストらしくアップデートして、また挑戦したいね。時間のない中で、ここまで走れる鐵隼を作り上げてくれたウチのメカニックも立派だったと思う。たった数カ月で58秒台で走れるマシンを作り上げるのは、他のショップではできないでしょう」とコメントした。

隼ミーティング/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 さらに加賀山は、昨年の刀ミーティングに続き、今回は隼ミーティングを開催。レース後には、隼オーナーと筑波サーキットをパレードラン。約120台もの隼が集まった様は圧巻だった。

「鐵隼でT.O.Tに出ることが決まると、Busa-Tomo.Netの皆さんが応援ステッカーやTシャツを作って運営費をサポートしてくれたんです。筑波にも応援に駆けつけてくれて一緒にパレードできたことは、すごくうれしかった。今までサーキットに足を運んだことがない方、レースを見たことのない方が多かったので、なおさら鐵隼で出た意味があったと思う。ここからモータースポーツに興味を持ってもらい、サーキット走行をしたいという人も増えればいいよね」

加賀山就臣(Team KAGAYAMA)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

 加賀山自身も2型の隼オーナーであり、ユーザー目線で考えることができるのは大きいと語る。レースに出るだけではなく、周りも楽しめるように盛り上げていくのが加賀山の真骨頂。これからも、楽しいことを加賀山ならやってくれるだろう。

鐵隼(テツブサ)を走らせる加賀山就臣(Team KAGAYAMA)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE
加賀山就臣(Team KAGAYAMA)/テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGE

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