「特別自治市」構想 神奈川3政令市以外の市長はどう見る

神奈川県庁

 政令市が道府県から独立して権限や財源の移譲を目指す「特別自治市」構想。少子高齢化や人口減少が進む中、効率的な行政サービスの実現や二重行政の解消に資するとして、横浜、川崎、相模原の3政令市長が議論を喚起する。一方で、神奈川県は総合調整機能が低下するなどとして、「法制化は住民目線で妥当でない」との立場だ。こうした議論を県内の政令市以外の市長はどう見ているのか。19日の市長会議に出席した首長に聞いた。

 「県と3政令市で構想を巡る考え方に温度差がある。双方で議論を深めてほしいが、影響を及ぼす具体的な課題についてメリット、デメリットを提示してくれないと各市町村の理解は深まらないだろう」。そう話したのは海老名市の内野優市長。法制化の行方を注視するとした上で、各自治体の財政格差も念頭に「仮に県内で特別自治市ができた場合、県の役割を含め広域連携の在り方に変化が生じるだろう」と展望した。

 必要な歳出に対する収入の割合を示す財政力指数が0.594(2021年度)と、県内自治体の中でも厳しい三浦市の吉田英男市長は「自治体制度の根本を変える構想なので、慎重な議論が必要だ。税財源の問題をクリアしないとうまくいかないだろう」と指摘。「政令市以外の各市町村が困らないような制度にならないといけない。大局的な議論を」と求めた。

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